気候変動
ネットゼロ
当社は、自社の事業活動での温室効果ガス排出量(スコープ1&2)を2030年までに実質ゼロにするという「2030カーボンニュートラル宣言」(※1)に加え、取引先などで排出される温室効果ガス排出量(スコープ3)も含めたサプライチェーン排出量を、2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」(※2)の実現に取り組んでいます。
スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※1 2022年2月に「2030カーボンニュートラル宣言」を発表
※2 2023年1月に「ネットゼロ」を発表
2030年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする、「2030カーボンニュートラル宣言」を発表
TCFD
TCFDへの賛同
ZOZOグループは、2022年2月にTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)(※)への賛同を表明し、TCFDの提言に基づいた気候関連のリスクと機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示をおこなっております。
- TCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース)は、主要国の中央銀行や金融監督当局などが参加する国際機関であるFSB(金融安定理事会)によって設立されたタスクフォースで、2017年6月に「気候関連のリスクと機会について情報開示をおこなう企業を支援すること」との提言を公表しています。
ガバナンス
ZOZOグループでは、取締役会において気候変動の課題を扱うことにより、戦略の立案・実行が効果的におこなわれると考えており、気候変動を含めた環境に関する重要事項を取締役会で審議・決議しております。また、執行側でのマネジメント機関として設けたSDGs推進委員会では代表取締役社長兼CEOが委員長を務め、環境マネジメントの統括責任者として当社の気候変動に関するリスク・機会、取り組み方針、目標についての議論や、取り組み実績の進捗確認をおこない、SDGs推進委員会で審議された重要事項を取締役会にて決議します。
当社のガバナンス体制図
戦略
将来の気候変動のシナリオは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に基づいた「FASHION INDUSTRY CHARTER FOR CLIMATE ACTION」と「A Roadmap to Net-zero Emissions for the Apparel Sector」を使用してシナリオ分析をおこない、気候変動に関連するリスク・機会の抽出をおこないました。
リスク管理
気候関連リスクに関しては、サステナビリティを専任で担当しているコミュニケーションデザイン本部(サステナビリティ推進ブロック)が把握、事業に影響を与える気候関連リスク・機会を洗い出し、その後、代表取締役社⻑兼CEOが委員長を務める「SDGs推進委員会」で議論をおこない、取締役会に報告しております。また、リスクマネジメント委員会では、ZOZOグループ横断で重要リスクを特定しリスク管理を実施しております。
指標と目標
当社は、自社の事業活動での温室効果ガス排出量(スコープ1、2)を2030年までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」(※1)に加え、間接的に排出される温室効果ガス排出量(スコープ3)も含めたサプライチェーン排出量を、2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」(※2)の実現に取り組んでいます。
スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
※1 2022年2月に「2030カーボンニュートラル宣言」を発表
※2 2023年1月に「ネットゼロ」を発表
温室効果ガス排出量削減目標と実績(単位:t-CO2)
対象スコープ | 基準年排出量 | 排出量実績 | 排出量実績 | 目標年排出量 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2020年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2030年度 | 2050年度 | ||
スコープ1 | 5 |
34 (△580%) |
34 (△580%) |
1 (▲80%) |
0 (▲100%) |
0 (▲100%) |
|
スコープ2 (マーケット基準) |
8,032 |
237 (▲97%) |
716 (▲91%) |
1,607 (▲80%) |
0 (▲100%) |
0 (▲100%) |
|
スコープ2 (ロケーション基準) |
8,209 |
12,252 (△50%) |
13,576 (△65%) |
1,642 (▲80%) |
0 (▲100%) |
0 (▲100%) |
|
スコープ3 | 411,919 |
224,593 (▲46%) |
204,580 (▲50%) |
ー |
238,913 (▲42%) |
0 (▲100%) |
SBTi
当社は、2023年3月にパリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(サイエンス・ベースド・ターゲット)(以下SBT)」を認定する機関「SBTイニシアティブ(SBTi)(以下SBTi)」に対しコミットメントレターを提出しました。また、パリ協定の「1.5℃目標」を達成するための目標を設定しSBT認定を申請しています。
※SBT:パリ協定が求める水準と整合した5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標
※SBTi:世界自然保護基金(WWF)、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトの4機関が共同運営するイニシアティブ
気候変動に関する取り組み
本社屋や物流拠点などへの再生可能エネルギーの導入、ファッションのサステナビリティに関する情報の発信や商品の企画・販売、計測テクノロジーなどのサービスを通して、気候変動へ取り組んでいます。
当社拠点へ再生可能エネルギーを導入
当社は、「2030カーボンニュートラル宣言」のもと、2030年までに拠点の電力を100%再生可能エネルギー化することを目指しており、2025年3月現在、当社拠点の電力消費量のうち9割以上が再生可能エネルギーとなっています。調達している再生可能エネルギー電力はすべて非化石証書によって調達したものになります。ZOZO本社屋では、2021年2月からみんな電力様の「ENECT RE100プラン」を採用し、トレーサビリティーが確保された再生可能エネルギー100%の電力を導入しています。また、2022年1月から物流拠点「ZOZOBASE習志野1」と「ZOZOBASEつくば1」、2022年6月から「ZOZOBASEつくば2」、2023年9月から「ZOZOBASE習志野2」、2023年3月から「ZOZOBASEつくば3」、2024年4月から各オフィス拠点にも、トラッキング付・FIT非化石証書等が付与された、バイオマスや太陽光由来の再生可能エネルギーを100%導入しております。再生可能エネルギー導入による2024年度のCO2削減量は13,559トンになります。
西千葉のZOZO本社屋に再生可能エネルギー100%の電力を導入
物流拠点「ZOZOBASE」に再生可能エネルギー由来の電力を100%導入
全てのデータセンターで再生可能エネルギーを使用
当社のサーバー等を保管しているデータセンターは、100%再生可能エネルギー電力を使用しています。また、クラウドデータセンターを利用し省エネ化への取り組みも推進しています。
サステナビリティ情報コンテンツ「elove by ZOZO」
2022年9月にサステナビリティ情報を発信する常設コンテンツ「elove by ZOZO」を開設しました。「サステナブルなファッションを選択できる顧客体験の提供」を目指し、ファッションブランドのサステナビリティへの取り組みやサステナブルな商品を紹介するほか、ファッションにまつわるTIPS、環境・社会問題など、サステナブルなお買い物をする際に役立つ情報などを紹介しています。
常設コンテンツ「elove by ZOZO」
計測テクノロジーにおける取り組み
当社は、ECでの購入時のサイズへの不安を解決すべく3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」をはじめ、足の3D計測用マット「ZOZOMAT」、フェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」などの計測ツールを提供しています。これにより購入後のサイズ不一致による返品を抑制、返品配送において発生するCO2を削減し環境負荷の低減へ繋げています。ZOZOMAT利用者は非利用者に比べ返品率が36.9%(※)低いという結果も確認しております。また、身体の3Dモデル生成が可能な「ZOZOSUIT」を使い、ワークアウトの進捗をサポートするボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」を米国で提供を開始し、ファッションだけでなく健康医療分野などにも計測テクノロジーを活用しています。
※ZOZOMAT対応シューズと非対応シューズの返品率を比較(対象期間:2020年2月27日~2020年10月12日)
「ZOZOMAT」対応シューズの返品率低下による、環境負荷低減
生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」による受注販売
当社はファッション業界の課題である大量生産・大量廃棄を解決する取り組みとして、生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」を開発し、取引先ブランドへ提供しております。「Made by ZOZO」はお客様からの注文後に商品の生産(受注生産)をおこなう為、需要に応じた適正量の生産が可能、これにより商品の作りすぎによる生産材料への負荷や売れ残りによる廃棄が発生しません。また、「Made by ZOZO」は1点から生産、また注文から最短10日で配送可能のため、通常の受注生産と比べお客様へもストレスなく商品をお届けすることが出来ます。
さらに、当社ではプロギング活動等で回収したペットボトルごみの一部を、マテリアルリサイクルの仕組みを活用して、新たな生地素材として採用しています。
(※)2023年から製造・販売している製品の一部に再生繊維を使用しております(例:UpDRIFTⓇデニム生地の場合、26%の再生繊維を使用 2025年6月時点)
関連リンク
物流に関する取り組み
物流拠点
・物流拠点で使用する全ての照明にLEDを導入
物流拠点「ZOZOBASE」では、全ての拠点において使用される電力を100%再生可能エネルギー電力にするほか、全ての照明機材にLED照明を使用し、省エネルギー化、CO2削減に取り組んでいます。
物流拠点「ZOZOBASE」の全照明をLED化
・空調最適制御システム「EMS-AI」を導入
物流拠点「ZOZOBASE」では、庫内の温度制御が自動で最適化される「EMS-AI」を導入し、省エネルギー化、CO2削減に取り組んでいます。
物流拠点「ZOZOBASE習志野1」に空調最適制御システム「EMS-AI」を導入
・物流拠点間の輸送を最小化
物流拠点「ZOZOBASE」では、当社の研究開発組織であるZOZO研究所がサステナブルな物流を目指し、拠点間輸送を最小化する適正在庫配置研究をおこない、拠点間輸送に伴うCO2の削減へ取り組んでいます。
ZOZO研究所、拠点間輸送を最小化する在庫配置研究がオペレーションズ・リサーチ学会第42回「事例研究賞」を受賞
・リサイクル素材100%のパレットを導入
物流拠点「ZOZOBASE」では、荷物を運ぶ際に100%リサイクル素材のパレットを使用しております。また、アウターなどの保管に伴うプラスチックハンガーの使用を減らす取り組みとして、品質を損なわない範囲で平置き保管を推奨、また取引先ブランドへプラスチックハンガーを極力使用しない納品を依頼し、廃棄量の削減に取り組んでおります。
リサイクル素材100%のパレットを導入
・物流拠点の外壁に断熱性の高いサンドイッチパネルを採用
輸送配送
・幹線輸送における積載効率の向上
物流拠点「ZOZOBASE」では、遠方(北海道・九州地方など)へ商品配送をおこなう際、当社拠点で梱包をおこなわず、幹線輸送後に各地域エリアにあるヤマト運輸のリレーションセンターで個別梱包・配送をしています。これにより幹線輸送における積載効率の向上を図り、輸送に伴うCO2の削減へ取り組んでいます。
ヤマト運輸のリレーションセンターを活用し、北海道・九州地方におけるZOZOTOWNの商品配送を効率化
・「置き配」サービスの推奨
当社はヤマト運輸が提供する、玄関前などの受け取り方法が選択可能なサービス「EAZY」を国内で初導入し、注文完了画面などで推奨しております。このようなサービスを通じて再配達を防ぐことにより、配送時のCO2の削減へ取り組んでいます。
ヤマト運輸提供の「EAZY」導入、「置き配」による個人情報漏洩リスクを低減する新配送方法も開始
・「注文のおまとめ」機能の導入
当社では複数回に分けて商品を注文した際に、1つの注文としてまとめて配送する「注文のおまとめ」機能を導入しています。発送前の注文が複数ある場合、おまとめ可能な注文は自動的にまとめられ、ご指定のお届け先へ配送されます。これにより商品のお届けの際に使用する梱包資材や配送回数は減少し、配送に伴うCO2の削減へ取り組んでいます。
注文のおまとめ対象拡大による商品配送の効率化
・「ゆっくり配送」の導入
「ゆっくり配送」は、商品注文日の7日後から10日後までに発送する新たな配送の選択肢で、注文から発送までのリードタイムが通常配送に比べ最大で6日長くなります。働き方改革関連法の施行による「2024年問題」への対応として、2024年4月に試験導入を実施したところ、「注文のおまとめ」促進による配送件数の削減効果を確認できたことから、CO2排出量の低減等のさらなる効果を見込み2024年8月から本格導入しました。
ZOZOTOWN、ゆっくり配送を8月5日より本格導入
梱包資材
・環境に配慮された資材の使用
物流拠点「ZOZOBASE」では、お客様へ商品を配送する際に使用する梱包資材にFSC認証段ボールやバイオマス素材の袋資材を採用しているほか、商品を保護するための緩衝材においても再生紙を使用しており環境配慮に努めています。
配送時の梱包資材を環境に配慮した素材に変更
業界団体との取り組み
当社は、環境や社会課題解決に向け、業界団体と連携することで、関わるサプライチェーンやすべてのステークホルダーのみなさまと共に、様々な取り組みを推進しています。また、当社の経営戦略や事業活動との整合性を考慮し、業界団体と当社の考え方が大きく隔離していないか定期的に見直しをおこない、隔離が大きい場合には改善提案や脱退も検討し、当社の方針に適した業界団体に加盟します。
JSFA
当社は、サステナブルなファッション産業への移行推進を目的とする 「ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)」に2022年4月1日付で加盟いたしました。2021年8月に発足したJSFAは、個社では解決が難しい課題に対して、共同で解決策を導き出していくためのアライアンスです。2025年4月時点で合計70社のファッション・繊維企業が加盟し、経済産業省、環境省、消費者庁がパブリックパートナーとなっています。
コミットメント
・パリ協定に賛同し、脱炭素型へのビジネスの移行を促進する。(逆行する事業については脱却に努める)
・2050年迄のネットゼロ宣言やRE100、EP100, EV100等への参加に努める。
・サプライヤー・顧客に働きかけ、バリューチェーン全体の透明化に努める。
・適量生産・適量購入・循環利用を推進する。
・アライアンスの一員として、政策関与やサステナブルファッションの協働に賛同・協力する。
2050年目標
・「2050年カーボンニュートラル」
・「適量生産・適量購入・循環利用によるファッションロスゼロ」
人権に対する考え方
JSFA及び会員企業は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、 これに基づき人権尊重の取り組みを推進します。
JSFAでの取り組み
JSFAの会員として当社は「JSFA 温室効果ガス排出量 Scope3算定事例集」の作成協力や、環境省の支援を受け、一般社団法人日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC)と連携し「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量の算定方法基本ガイドラインに関する業種別解説(ファッション産業)」の策定に協力しました。今後も、温室効果ガスの排出が多いファッション産業が2050年にカーボンニュートラルを達成するために、業界内の共通課題の改善や、ファッションロス・ゼロを目指すための議論にも積極的に参加していきます。
ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)
気候変動イニシアティブ(JCI:Japan Climate Initiative)
当社は「気候変動イニシアティブ」の宣言である「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」に賛同し、2024年3月から参加しています。「気候変動イニシアティブ」は、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどの情報発信や意見交換を強化するためのネットワークです。
気候変動イニシアティブ