統合報告

Strategy & Business

CFOメッセージ

積極投資と堅実な財務運営で、次のステージへ

業績の振り返りと財務基盤の強化

2026年3月期は、商品取扱高・EBITDAともに過去最高実績を記録することができました。商品取扱高は前期比8.4%増の6,660億円、EBITDAは前期比10.2%増の769億円となり、7期連続増収・増益を達成しています。

増益の主な要因は、「ZOZOTOWN」および「LINEヤフーコマース」における商品取扱高の拡大による粗利増加です。加えて、広告事業の成長における売上増加、在庫保管状況の改善や自動化設備の導入による物流関連費の抑制、および配送委託先との経済条件改善を受けた荷造運賃比率の低下も、収益改善に寄与しました。

第4四半期においては冬の本セール販売が好調に推移し、ZOZOTOWNおよびLINEヤフーコマース・BtoB事業の合算では通期計画を達成しています。一方、LYSTはラグジュアリー業界の外部環境の影響を受け、全事業合計の商品取扱高では計画を下回る結果となりました。また、EBITDAマージンについては、商品取扱高の計画達成に向けた集客・販促への積極的な投資を優先した結果、11.9%となりましたが、意図した着地と捉えています。こうした短期的な影響を織り込みながらも、中長期的な視点で着実に進めてまいります。

なお、2027年3月期より主要経営指標をEBITDAから「調整後EBITA」に変更します。物流拠点への継続的な設備投資や自社制作ソフトウェアへの投資は事業運営に不可欠なコストであると認識しています。そのため、M&Aに起因するのれん及び無形資産の償却費ならびに取得関連費用の影響のみを調整対象とすることで、ZOZOグループの実態に即した本来の収益力をより適切に示すことができると判断しました。

未来へのインフラ投資

2026年4月に発表した中期経営計画の達成に向けて、その成長を支える基盤として、物流インフラへの継続的な投資を進めています。既存物流拠点への自動化設備の導入を進めたほか、2024年8月より稼働を開始したDPLつくば中央については2026年5月より賃借エリアを拡大しており、商品取扱高の成長を見据え、処理能力の増強を図っています。

こうした各拠点における取り組みにより、在庫保管状況の改善や自動化設備の導入を通じた作業効率の向上・省人化、さらには配送委託先との経済条件改善による配送効率の向上など、オペレーション全体の効率化が進んだ結果、物流関連費のコスト比率は前期比で低下しています。

2027年3月からは、新たに物流拠点「ZOZOBASE習志野3」の賃借開始を予定しており、総額約200億円規模の設備投資のうち、2026年度においては約80億円の設備投資を計画しています。この新拠点は、稼働から13年が経過した「ZOZOBASE習志野1」の機能を移行・刷新するものであり、さらなる自動化の推進により既存拠点と比較して約50%の省人化を目指します。2027年8月より一部機能の稼働を開始、2028年10月より本格稼働を予定しており、次の成長フェーズを支える物流基盤として重要な役割を担います。

物流への投資は、お客様への配送品質の維持・向上とオペレーションの競争力を長期にわたって確保するための戦略的な資産形成と位置づけています。今後の商品取扱高の成長を見据えながら、規律をもった投資計画のもとで物流基盤の強化を継続してまいります。

非連続な成長投資

中期経営計画のMore Fashion領域においては、取り扱いブランドの拡充や新規のお客様とのタッチポイント創出に向けた取り組みを継続しています。韓国のファッション企業MUSINSAとの戦略的パートナーシップにより、ZOZOTOWNの取り扱いブランド数は前年同期比124.3%の11,247ブランドへと拡大しました。また、2025年6月には札幌、2026年2月には名古屋にて期間限定のリアルポップアップストアを開催し、実店舗志向のお客様との新たな接点を創出しました。オンライン・オフライン双方で顧客接点を拡充することで、新規顧客の獲得や年間購入者数の着実な増加へとつなげています。

Near Fashion領域およびGlobal領域では、自社の事業基盤を活かした取り組みだけでなく、M&Aや協業を積極的に活用しながら成長を実現していく方針です。Near Fashion領域では、香りの総合プラットフォーム「カラリア」を運営する株式会社High Linkの全株式を49.5億円で取得し、完全子会社化しました。国内の香水・フレグランス市場は拡大傾向にあり、ファッションとの親和性も高い分野です。ZOZOの顧客基盤を活用したHigh Linkの各サービスへの送客や、EC運営ノウハウやデータを活かした、香水との新たな出合いを促すディスカバリー体験の提供など、この領域での価値創出を進めてまいります。

Global領域では、欧米を中心に高い認知度を持つファッションショッピングプラットフォーム「Lyst」を運営するLYSTを完全子会社化し、海外市場での事業拡大を加速させる体制を整えました。また、米国を中心に展開する3Dボディスキャンサービス「ZOZOFIT」は100万ダウンロードを突破しており、ZOZOのテクノロジーがグローバル市場で着実に受け入れられていることを示しています。こうした実績は、今後の事業推進に向けた確かな手応えとなっています。

M&Aを含む新規事業領域への投資においては、一定の投資規律のもと、短期的な収益への影響を適切に管理しながら実行していく方針です。将来の非連続な成長に向けた布石を着実に打ち続けることが、私たちの資本配分における基本的な考えです。

企業価値向上と株主還元の両立に向けて

ZOZOでは、資本コストを上回る利益の創出が企業価値の持続的な向上に不可欠であると考え、自己資本利益率(ROE)30%以上の維持を目標として掲げています。2026年3月期のROEは46.6%となり、引き続き目標を大きく上回る水準を維持しています。今後も適切な成長投資と資本政策の実行を通じて、資本効率と企業価値のさらなる向上に努めてまいります。

株主還元については、配当性向70%以上を基本方針として堅持しており、2027年3月期の1株当たり配当金は40円を予定しています。また、「総還元性向について5年平均で80%超を目指す」という方針を着実に実行すべく、2026年6月には自己株式の取得および消却を決議するなど、株主還元の充実に積極的に取り組んでおります。成長投資と株主還元の両立を経営の基本原則として、中長期的な企業価値の向上にコミットしてまいります。

ステークホルダーの皆様へ

持続的な企業価値の向上を実現するためには、サステナビリティを巡る各種課題への対応や、それを通じたステークホルダーの皆様との信頼関係構築も不可欠であると捉えています。これは、財務パフォーマンスと切り離せない経営課題です。中期経営計画が目指す3つの事業領域での成長は、環境・社会への配慮と責任ある事業運営が伴ってこそ、長期的な企業価値の向上につながると考えているからです。MSCI ESGレーティングにおける最高評価「AAA」の継続取得やCDPの気候変動分野における「Aリスト」選定は、こうした姿勢が外部からも評価されている証左として受け止めています。今後も、サステナビリティを成長戦略の中核に据えながら、ステークホルダーの皆様との建設的な対話を深め、持続的な成長の実現に向けて取り組んでまいります。

財務ハイライト

  • 商品取扱高

    2025年度 商品取扱高 6,660億円
  • 売上高

    2025年度 売上高 2,283億円
  • 営業利益

    2025年度 営業利益 693億円
  • EBITDA

    2025年度 EBITDA 769億円
  • ROE

    2025年度 ROE 46.6%
  • 配当性向

    2025年度 配当性向 72.1%

サプライチェーンデューデリジェンス

当社グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」と「OECD多国籍企業行動指針」に従い、サステナビリティリスクを特定・防止・低減するため、以下の通りサプライチェーンデューデリジェンスのプロセスを構築し、リスクアセスメントを実施しています。

プロセス

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サステナビリティリスクの特定および評価

サプライチェーンデューデリジェンスの一環として、取引金額やセグメントごとに対象企業を選定し、当社のサプライチェーンにおけるサステナビリティリスク(事業活動への負の影響)を特定するためのアンケート調査を実施しました。

アンケート調査概要

実施目的

取引先各社のサステナビリティへの取り組み状況を把握し、サプライチェーン上のリスク低減と改善支援につなげる

設問数

34問(環境 8問 / 社会 17問 / ガバナンス 9問)

対象

主要取引先 42社

・ZOZOTOWN出店ブランド企業:対象30社 / 回答27社(回答率90.0%)

※ZOZOTOWN取扱高割合50.5%の企業が対象

・ブランド以外の企業:対象12社 / 回答11社(回答率91.7%)

※販管費割合67.1%の企業(輸送企業、物流企業、金融企業等)が対象

回答期間

2026年3月~5月

アンケート調査項目

大項目

中項目

小項目

環境

環境

環境に対する基本姿勢

評価・特定・是正する仕組みの有無

取引先に対する取り組み

気候変動

温室効果ガス排出量の把握範囲

温室効果ガス排出量の削減目標策定有無

社会

人権

人権に対する基本姿勢

評価・特定・是正する仕組みの有無

取引先に対する取り組み・遵守の要請有無

強制労働 / 人身取引 / 児童労働の禁止

生産拠点について

外国人技能実習制度・特定技能制度について

ガバナンス

企業倫理

汚職・腐敗に関する姿勢

通報窓口

通報窓口の有無

通報窓口の利用可能範囲

サプライチェーンマネジメント

サプライヤー向けの方針・ガイドラインの有無

情報セキュリティ

情報セキュリティに関する姿勢

第三者監査の実施有無

アンケート調査結果

調査の結果、サステナビリティに対する基本認識は全体的に高水準である一方、個社ごとにおける方針・体制の整備や、GHG排出量等のデータ把握の実務定着が今後の重点課題として明確になりました。
なお、今回の調査において、重大な人権侵害インシデントやコンプライアンス違反は確認されませんでした。しかし、一部で潜在的リスクが懸念されるサプライヤーを特定したため、今後は国際動向に関する情報提供や算定ツールの共有といった具体的なエンゲージメントを通じ、お取引先様と協働でリスクの未然防止および改善活動を推進してまいります。また、今後は本調査の実効性をさらに高めるため、対象となる企業を段階的に拡大していくことも視野に入れ、取り組みを進めてまいります。

領域

調査項目(取り組み内容)

対応状況

今後の対応の方向性

環境

環境法規制・社会的規範の認識

  • 関連する方針・枠組みの共有
  • 環境に関する教育・啓発コンテンツの共有
  • 算定ガイドライン(Scope1・2・3等)の共有

環境責任者・体制の明確化

環境方針・ガイドラインの整備

GHG排出量の削減目標の設定

GHG(温室効果ガス)排出量の把握

社会

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の認識

  • 関連する方針・枠組みの共有
  • 人権に関する教育・啓発コンテンツの共有
  • ZOZOにおける理解促進のための取り組み・ノウハウの共有

グループ企業・サプライヤーにおける強制労働等の把握

人権リスクの評価・特定・是正する仕組みの有無

強制労働 / 人身取引 / 児童労働に関する事案発生時の厳正な対処

特定の懸念地域にある自社供給網拠点の把握

仕入先・委託先における外国人技能実習・特定技能制度の確認

ガバナンス

内部・外部通報窓口の設置

  • 関連する方針・枠組みの共有
  • コンプライアンスに関する教育・啓発コンテンツの共有
  • ZOZOにおける体制整備のノウハウ共有

汚職・腐敗に関する責任者・体制の明確化

情報セキュリティの第三者監査の実施

通報窓口の利用範囲

◎:90%以上十分に対応している
〇:70%以上90%未満概ね対応しているが、一部に課題
△:70%未満対応に遅れがあり、支援が必要