代表取締役社長兼CEO 澤田 宏太郎

ZOZOは持続可能な未来を、ソウゾウし続けます。

私たちは、当社の企業理念「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を実現できると信じています。

当社は、インターネットで服を買うことも、売ることも当たり前ではなかった時代に「想像」と「創造」が行き交う街というコンセプトのもと「ZOZOTOWN」を提供し、独自の手法やテクノロジーで常識を覆してきました。

いま、コロナ禍という未曾有の事態によって人々の生活様式が大きく変わり、ファッション業界も変革を迎えています。私たちはファッションを楽しむすべての人に寄り添う、唯一無二の存在を目指したいと思っています。独自のテクノロジー技術や膨大なデータ、ファッションに精通した社員は当社の強みであり、これらを活かした新しいサービスを提供し、誰もが笑顔であり続ける未来をつくっていきます。

サステナビリティへの考え方

私たちは自社の企業理念の実現や成長のためには、サステナビリティに取り組むことが不可欠だと考えています。企業理念で私たちがカッコよく、笑顔を溢れさせたいと願っている「世界」において、ファッション産業は2番目に規模の大きい環境汚染産業と言われています。また、ファッションは環境問題だけでなく、労働環境や人権問題との深い関わりもあり、サステナビリティへの取り組みは喫緊の課題と言えます。

当社では2020年に経営陣で構成するSDGs推進委員会を設置し、高い頻度で当社が取り組むべきサステナビリティについて話し合いをしています。また、お取引先様や株主・投資家の皆様、拠点を置く地域の皆様や社員などにインタビューを実施し、当社やファッション業界が目指す未来について半年以上議論を重ねました。そして、それらのインタビューなどに基づき、当社はプラットフォーマーとして、あらゆるステークホルダーの皆様とのつながりを大切にしたいという想いを込めて、2021年4月、「ファッションでつなぐ、サステナブルな未来へ。」というサステナビリティステートメントと「4つの重点取り組み」を策定しました。この「4つの重点取り組み」は、2030年の達成を目指して全力で取り組みを始めています。

ESGへの取り組み

当社は、経営において健全性や透明性を常に意識し、持続的な企業価値の向上や、株主を含めた全てのステークホルダーとの円滑な関係構築を基本としています。そのため、ESG領域における適切でわかりやすい情報開示をおこなうだけでなく、ガバナンス強化も重要だと考えます。
その取り組みとして、2022年3月に、ステークホルダーの期待やESG評価項目などを参考に、当社グループの特性や成長への寄与の観点から議論・検討を重ね、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高いマテリアリティ(重要課題)を19項目特定しました。

さらに、この全19のマテリアリティ項目から、最重要項目を10項目特定しました。この最重要項目は「4つの重点取り組み」と紐づいており、消費者・ブランド様へのエンゲージメントや気候変動だけでなく、プラットフォーマーとして誰もが安心してお買い物できるサービスを提供するために、セキュリティの強化、人材開発なども含んでいます。また、2023年度までに順次KPIおよびアクションプランを設定し、プライム企業として持続的な成長と社会課題の解決・社会的責任を果たすことを両立させてまいります。

その最重要マテリアリティの一つに「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」がありますが、当社ではこれまでも多様な価値観や個性がぶつかり合って、斬新なアイデアが生み出されてきました。

なにより当社の事業であるファッションは、個性を表現するものであり、その商品をお届けするサービスも多様な価値観に合ったものである必要があります。様々な年代や地域のお客様に楽しんでいただくサービスを提供し続けるためにも、社員の個性を尊重し、どのライフステージにおいても最大限に活躍できる環境を社員と共につくっていきます。

さらにこの「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」を推進するという点において、2021年12月、当社の執行役員に就任したクリスティン・エドマンに大きな期待を寄せています。エドマンはH&Mジャパン 代表取締役社長を務めたのち、ジバンシィ ジャパンのプレジデント&CEOとして同社の成長に貢献しました。この、国内外におけるエドマンの豊富な経験や、女性のエンパワーメント支援、フラットな組織づくりなど「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」施策への積極的な関与が、当社の成長に寄与すると考え、SDGs推進委員会の副委員長にも就任しております。

環境への取り組みにおいて、2022年2月にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同し、事業活動での温室効果ガス排出量を2030年度までに実質ゼロにする「2030カーボンニュートラル宣言」を発表しました。今後もCO2排出量の大きい物流拠点を中心に、再生可能エネルギーの導入をいっそう進めていく予定です。

成長戦略の方向性

当社は経営戦略に新たに「MORE FASHION × FASHION TECH ~ワクワクできる『似合う』を届ける~」を掲げ、事業の成長を加速させるための戦略の3本柱を強化していきます。これらの戦略を推し進めることで、ファッション業界が抱える課題や、最新のテクノロジーの開発に取り組み、業界自体を盛り上げていきたいと考えています。

まず、「戦略の3本柱」の1つめである「『買う』以外のトラフィックも増やす」を実行するため、「ファッションを『買う』ならZOZO」にとどまらず「ファッションの『こと』ならZOZO」と想起していただけるように、私たちは新しいファッションのプラットフォーマーとしての役割を広げていきたいと考えています。2021年11月に開始した「ZOZOMO」や「FAANS」といったサービスもその一環です。毎日「ZOZOTOWN」を見ると、必ず面白いことがあるという認知を広く獲得し、また、今後はお客様へファッションに関しての情報を発信するだけでなく、データやテクノロジーを駆使してお客様一人ひとりに「似合う」を届ける仕組みを構築していきます。こうした取り組みは、マテリアリティ(重要課題)に掲げている「消費者のエンゲージメント」を高めるだけでなく、メンズ・レディースなどの枠に捉われずに、あらゆる人が多様なファッションを楽しめる「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進」にも寄与すると考えています。

続いて、「戦略の3本柱」の2つめとして掲げている「生産支援」では、デザインや設計といったファッションのサプライチェーンにおける上流プロセスにも取り組む予定です。既に、当社のD2Cブランドの支援施策である「YOUR BRAND PROJECT」の縫製工場ではDXの仕組みなども独自に開発し、一部導入を進めています。こうした技術をブランド様にも提供し、ファッション業界の課題である「過剰生産・廃棄ロス」の抑制に貢献していきたい考えです。この施策では、マテリアリティとしても挙げている「ブランド企業へのエンゲージメント」「アパレルの廃棄物、リサイクル」「気候変動」や人権の課題についても取り組んでいきます。

当社はこれまで、ECサイトでお客様が服やコスメを購入する際に「試着や試し塗りができない」というハードルを下げるため、2017年には採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」、その後身にあたる3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ZOZOSUIT 2)」、「ZOZOMAT」、「ZOZOGLASS」、「ZOZOMAT for Hands」など、多数の計測テクノロジーを開発してきました。「戦略の3本柱」の3つめとして掲げている「技術ライセンスの販売」では、2021年に国内で実施した「ZOZOMAT for Hands」に引き続き、「ZOZOSUIT」の計測技術を活用したボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」の提供を米国で今夏開始することが決定しています。「ZOZOFIT」は自宅で、スピーディーに精緻な身体の3Dモデルを生成することができるサービスですが、今後は心拍や運動強度などの身体メトリクス全般を取り込み、それらのデータから生み出されるシミュレーションアルゴリズムなどの開発にも取り組むことを計画しています。また、身体メトリクスの情報や、お客様からの改善ニーズを蓄積していくことで、個々人の状況に合わせた関連サービスや商品を推奨できるようになります。こうした取り組みを通じて、「消費者のエンゲージメント」や「ブランド企業へのエンゲージメント」などのマテリアリティを確実に実行していきたいと思います。

ステークホルダーの皆さまへ

当社はこれからも創業以来変わらない、ZOZOマインドである「ソウゾウのナナメウエ」のやり方でファッションとテックと人をつなぎ、今までにない革新的なファッションの世界をつくっていきたいと考えています。また社会・環境問題にも果敢に挑戦し、ステークホルダーの皆様と共に、地球の課題を革新的なやり方で解決していきます。

取締役副社長兼CFO 栁澤 孝旨

CFOとしての姿勢/サステナビリティへの考え

近年、財務・非財務の両面を見据えたESG経営が重要視されてきていますが、当社においても、いずれの側面も考慮した積極的な情報開示を進め、透明性確保に努めています。またプライム企業として期待される経営という意味でも、サステナビリティやファッション業界の課題にも積極的に向き合うことが重要だと考えています。

2021年度の業績及び振り返り

2021年にファッションEC「ZOZOTOWN」の年間購入者数が初めて1,000万人を超え、商品取扱高(前年同期比13.3%増)、営業利益(前年同期比12.5%増)は過去最高となりました。主な要因は、出店ブランド様からの積極的な商材提供があったことやテレビ・ウェブ・SNSなどを組み合わせたプロモーション施策が功を奏しました。

同年「ZOZOTOWN」内にオープンしたコスメ専門モール「ZOZOCOSME」も好調で、「ZOZOCOSME」と同日にローンチしたフェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」も2022年5月末時点で計測者数120万人を超えており、コスメ購入を後押ししています。

また、2019年12月から出店している、オンラインショッピングモール「PayPayモール(ペイペイモール)」の「ZOZOTOWN PayPayモール店」も非常に順調です。「ZOZOTOWN」とは異なる顧客も新たに獲得し、Zホールディングスグループとしてのグループシナジーを創出することができています。

コスト削減の点では、EC事業に伴う物流関連人件費(対商品取扱高コスト比率)において、物流拠点「ZOZOBASE」での作業効率を見直し、前年同期比で0.3ポイント削減するなど、効率化施策が効果を上げています。

他にも、ブランド様の実店舗スタッフの販売サポートツール「FAANS」やブランド様の店舗在庫の取り置きが可能となる「ZOZOMO」の展開など、ファッションテック企業として新たな取り組みをスタートしたほか、アメリカ・テキサス州で開催された「SXSW 2022」へグループ会社のZOZO NEXTが初出展するなど、リアルな場でのコミュニケーションから、新たなビジネスのヒントやノウハウを吸収しました。

2022年度の方向性

当社は今期も経営戦略として掲げている「MORE FASHION × FASHION TECH ~ワクワクできる『似合う』を届ける~」と成長戦略である「戦略の3本柱」を軸に、商品取扱高2ケタ成長を目指しています。

「MORE FASHION × FASHION TECH」
~ワクワクできる『似合う』を届ける~

「ZOZOTOWN」および「ZOZOTOWN PayPayモール店」において、商品取扱高4,798億円(+10.2%)を目指します。また、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」にアプリ上からファッションアイテムを簡単に出品・購入できるフリマ機能を今夏に追加しました。本機能はサステナビリティにおいても重要な、二次流通の機会創出につながる取り組みでもあり、大きな付加価値を生み出すことが出来ると考えています。

戦略の3本柱

当社は利益ドライバーを複数化し、多様な利益構造を構築することを目指し、中期経営戦略として「戦略の3本柱」を設定しております。

戦略の1つめである「『買う』以外のトラフィックを増やす」施策として、ファッションとテクノロジーを掛け合わせたサービスの準備を着々と進めています。これまで私たちは、「ZOZOTOWN」を通してお客様に良い商品をお届けするプラットフォーマーとして全力を尽くしてまいりましたが、今後は「ファッションを『買う』ならZOZO」から、「ファッションの『こと』ならZOZO」を目指していきます。その時にキーワードとなるのが「似合う」です。当社は多くのお客様の体型データや購入履歴、お気に入り商品のデータなどを所有していますが、これらのビッグデータと当社独自のテクノロジーを活用することで、お客様にワクワクできる「似合う」ソリューションを生み出す計画を進めています。

続いて、戦略の2つめの「生産支援に踏み込む」では、PBやMSP(マルチサイズプラットフォーム)で培ってきた需要分析や生産基盤を活かし、廃棄ゼロを目指す受注生産プラットフォームを構築していきます。当社の試算によると、当社の生産基盤を活用して受注生産をした場合、通常の見込み生産に比べ約30%ほど生産枚数を抑えることができることがわかっています。このプラットフォームをブランド様へ提供することで「過剰生産・廃棄ロス」の抑制に貢献し、業界全体の課題解決に努めたいと考えております。既に複数のアパレルブランド様と取り組みを進めており、今後さらに、ファッションの上流から下流まで全域にさまざまなサービスやソリューションを提供していく予定です。

戦略の3つめ「技術ライセンスの販売にトライ」では、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を活用した、ボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」の提供を米国で開始します。「ZOZOFIT」は専用アプリ内に、体型計測のデータや、身体3Dモデルデータを記録することができ、自宅にいながら、手軽に身体の高精度データを蓄積することができるので、小さな体型変化を見逃さず、楽しく効率的なワークアウトの継続をサポートします。まずは、フィットネス市場の大きな米国でローンチし、検証を繰り返した後、日本国内での提供も検討していきます。このように、今後はファッションに限らず、幅広い分野での技術提供の可能性を探っていきます。

成長投資について

今期は100億円規模の設備投資をおこなっていきます。主に物流拠点への投資を予定しており、2023年8月に稼働予定の「ZOZOBASEつくば3」へ、最先端の自動化設備を導入予定です。
また、「戦略の3本柱」とサステナビリティの「4つの重点取り組み」に共通して掲げている「生産支援」の取り組みにも、引き続き投資していきます。この「生産支援」をきっかけに、ファッション業界の様々な課題に取り組みながら、社会やステークホルダーに役立つ企業のあり方を模索し続けていきます。

その他にも、開発スピードの向上や新たなテクノロジーを取り入れるべく、エンジニアの採用・増員も予定しています。また、人材開発・教育にも力を入れ、Zホールディングスグループとしてのメリットを活用し、積極的にエンジニアのリソースや知見を共有してまいります。

資本効率の向上

当社では資本コストを上回る利益を生み出すことが企業価値の増大につながると考えているため、自己資本利益率(ROE)も経営指標とし、資本効率の高い経営に努めています。ROEは、当社と類似する世界的な企業の水準等を勘案し、最低20%は維持していく事を目標としています。

なお、2021度のROEは62.5%(前年同期実績68.8%)で、前年度に引き続き高い水準を維持し、目標値を大きく上回っております。

株主還元の方針

当社は、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に見極め、内部留保とのバランスを取ることを経営の基本方針としています。株主の皆様への還元も重視し、今後も配当性向50%を目安に、効率的な資本の運用を目指してまいります。なお、2022年3月期の株主配当は1株当たり58円で実施いたしました。今後も、積極的な戦略投資と株主還元の両立を目指し、企業価値の向上を目指していきます。

サステナビリティ/ESGへの取り組み

当社は、2022年4月にマテリアリティ(重要課題)を特定しました。ここまで述べてきた通り、今後当社が成長し、お客様やブランド様をはじめとするステークホルダーの皆様と共にファッションの未来をつくっていくためには、ESGへの取り組みが欠かせないと考えております。その中でも特にガバナンスの重要性は社員一人ひとりが意識するべきものと捉えており、経営リスクを未然に防ぐ組織づくりを全力でおこなってまいりました。

特に、お客様や取引先様からお預かりした情報資産を適正に保護し、安全に取り扱うことは重要な責務であり、2021年7月には国際規格に基づく情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得いたしました。すべてのステークホルダーの信頼に応え、より安心してサービスをご利用いただけるよう、今後も情報セキュリティマネジメントシステムの継続的な運用・改善に努めていきます。

また、プライム上場企業として、気候変動への取り組みも重視しています。2022年2月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同し「2030カーボンニュートラル宣言」を発表しました。2025年までにスコープ1,2を対象とするカーボンニュートラル80%達成を目指す中間目標を掲げておりましたが、2022年度中に80%達成の目標を前倒しできる見込みとなっております。カーボンニュートラル達成の2030年へ向けて、脱炭素への取り組みをより一層進めていきます。

2022年度の新たな取り組みとして、人権侵害への加担を抑止するため、人権デューデリジェンスの構築にも取り組んでいきます。サプライチェーンのみならず、社内を含めて潜在している人権リスクを確認し、弊社ビジネスに関わるすべての人の人権に配慮してまいります。

当社は今後も、既存事業の強化と新たな成長の機会への積極的な投資をおこなうことで、企業理念である「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の実現を目指していきます。

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