統合報告

Vision

CEOメッセージ

ワクワクできる『似合う』を届ける

当社は、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念のもと、ファッションを通じてあらゆる挑戦を続けてきました。2023年度は、経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH」に新たに追加した「ワクワクできる『似合う』を届ける」施策の成果が表れ、「似合うの解明」に手応えを感じつつあります。今後もファッションとテックと人をつなぎ、ZOZOらしいソリューションを提供し続けてまいります。

2023年度の振り返り

2023年度は5つの拡大方針「①より幅広い顧客層の取り込み」「②一人あたりの購買頻度向上」「③DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援」「④アパレル以外のカテゴリー拡大」「⑤テクノロジーの収益化」を掲げ、これらに積極的に挑みました。

1つ目の拡大方針である「より幅広い顧客層を取り込む」目的で実施した若年層・ファミリー層等に狙いを絞った施策では、ZOZOTOWNの想起率が向上。これらをはじめ積極的なプロモーションが効果を発揮し、商品取扱高・営業利益、共に過去最高実績を更新しました。

2つ目の方針である「一人あたりの購買頻度向上」では、「売る」だけに留まらず、引き続き“ファッションの「こと」ならZOZO”を目指し、購入前にお客様に「伝える」ことにも力点を置きました。超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」やYouTubeチャンネル「niaulab TV by ZOZO」等のサービスを提供して、購買の前の段階でのタッチポイントを増やしたほか、今年の5月には、ファッションコーディネートアプリ「WEAR」が、ファッションの「好みのジャンル傾向」がわかる新たな機能やコンテンツ等を導入し、「あなたの『似合う』が探せる」ファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」として生まれ変わりました。こうした「似合う」体験をより多くの方々にお届けするため、今後もAIの活用を進め、ZOZOTOWNのデータや「niaulab by ZOZO」の体験者データ等を掛け合わせることで、誰もがファッションを楽しめる世界を目指していきたいと思います。

3つ目の「DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援」については、2022年9月から開始した生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」で生産設備を拡充し、生産型数は前期比307%、生産枚数は136%と着実に成長してきました。ブランド様の在庫リスクゼロを目指し、よりサステナブルな生産ができるよう引き続き力を入れていきたいと考えています。

4つ目の方針である「アパレル以外のカテゴリー拡大」では、当社は2021年3月にコスメ市場に本格参入して以来、コスメ専門モール「ZOZOCOSME」の拡大に注力してきました。ZOZOTOWNアクティブ会員に占めるコスメ購入の割合は23.6%で、新規購入者数も右肩上がりに伸びており、順調に推移してきています。2023年度はついに目標としていた商品取扱高100億円の大台を突破し、113億円まで成長させることができました。既に、次なる挑戦の方向性も定めており、結果を残せるように尽力してまいります。

5つ目の「テクノロジーの収益化」についても、大きな進歩がありました。ZOZOの強みであるテクノロジーがさらに進化し、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を着用しなくても、それと同レベルの精度で計測ができるようになりました。これにより、現在米国で提供しているボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」のアプリダウンロード数は3倍以上に増え、ビジネスにおいても有用なものになってきたと感じています。国内においては、今年4月に法人向け計測業務効率化サービス「ZOZOMETRY」を一部事業者向けに提供開始しました。これは「ZOZOSUIT」とスキャン用アプリで身体データを計測すると、その計測データが事業者側に共有される仕組みで、ユニフォーム製作会社や、顧客のサイズを遠隔で計測したい企業等にニーズがあると見込んでおり、既に多くの問い合わせをいただいています。

ESG観点の経営強化

マテリアリティの初回策定から2年が経過し、環境の変化や当社事業の状況に合わせ、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高いマテリアリティを見直しました。(※)また、併せて4つの重点取り組みも、注力することが大きく変わるわけではありませんが、外部環境や当社の取り組み状況に合わせアップデートしました。(※)2024年8月発表

1.サプライチェーンのデューデリジェンス強化

今回のマテリアリティにも含まれている「コーポレートガバナンスの強化」「気候変動への対応」「人権の尊重」は、2年前と比べても投資家等からの要望の高まりを感じており、前回よりも重要性を高くマッピングしました。そして、取り組みとしては今年5月に、取引先企業を対象に、サプライチェーンデューデリジェンスの一環としてアンケートを実施し、実態把握に努めています。現時点ですべての取引先の状況確認にまでは至っておりませんが、環境や人権が遵守されるよう現状を確認の上、取引先と共に改善に取り組んでまいります。

2.従業員の幸福度向上へ

当社にとって重要性の高いマテリアリティとして位置づけている「従業員の働きがい向上」については、すべての従業員が可能性を発揮できる環境づくりにも努めています。当社には、ファッションやテクノロジーに精通した多様な人材が集まり、ZOZOらしさを表す「ソウゾウのナナメウエ」「日々進歩」「愛」を合言葉に、日々新しいソリューションを生み出しています。今期はより生産性の高い状態を目指していくため「現行業務の見直し」と「重要業務への注力」に取り組んでいます。ここ数年で種まきをしてきた新規事業をより花開かせていくため、日々取捨選択をおこなうことでスピード感を高め、持続的に成長する状態を目指していきます。そして、これからの企業の成長には「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」も欠かせません。今後も社内の女性活躍や障がい者雇用の促進、LGBTQ+への理解啓発などに継続的に取り組んでいきたいと考えています。

3.持続可能な地域コミュニティを目指して

当社は、自社のカルチャーにも深く結びついている「次世代育成・地域との連携強化」を実践するため、環境問題や地域発展にも取り組んでいます。

2030年までに自社の事業活動での温室効果ガス排出量(スコープ1,2)を実質ゼロにするという「2030カーボンニュートラル宣言」に加え、サプライチェーン全体の排出量(スコープ1,2,3)を2050年までに実質ゼロにする「ネットゼロ」の実現を目指しており、本社や物流拠点「ZOZOBASE」に再生可能エネルギーを積極的に導入したことにより、当社拠点の90%以上が再生可能エネルギー化しています。また、今年はドライバーの労働時間が制限されることによる「物流の2024年問題」もあり、当社も2024年8月に「ゆっくり配送」を導入する等、配送ドライバーの負担軽減やCO2排出量の低減に取り組んできました。当社のスコープ3の3分の1は、商品の配送による排出が占めており、自社での配送の効率化に加え、取引先各社の協力なくして「ネットゼロ」実現はありえません。今後は、モーダルシフトへの移行等も検討しつつ、ユーザーにも現在の物流問題の課題解決へのご理解をお願いしながら、ZOZO・物流会社・消費者の三者にとって最適な解決方法を提案していきたいと考えています。

また、当社は創業以来、地域貢献に取り組んできましたが、2021年に西千葉へ本社屋を移転して以来、さらに精力的に地域貢献・次世代支援活動に取り組んでいます。「2030年までに20歳未満の次世代100万人と『つながり』を持ち地域の活性化に貢献する」という目標を掲げ、千葉県を中心に教育機関への出前授業や寄付・支援をおこなっています。2023年度は出前授業を108校に実施したほか、次世代のスポーツ支援等を実施した結果、27万人の若者とつながりを持つことができました。今後も当社の持つ知見や支援が未来を担う若者達の力となり、地域コミュニティを盛り上げるきっかけになるよう努めていきます。

4.ガバナンスへの取り組み

2023年6月に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行し1年が経過しました。今年6月には取締役の属性もより多様化し、マーケティング、サステナビリティなど、豊富な経験と幅広い見識を持った取締役が増え、様々な視点が入ることで取締役会での議論もさらに活発になっています。取締役会だけでなく、取締役同士で議論する「戦略検討会」を設けるなど、長期的視点で当社が取り組むべき内容について話し合いを進めています。また、私が委員長を務めるSDGs推進委員会も2024年7月までに25回開催しており、外部評価機関の評価をもとに方針の整備や情報開示、役員報酬へのESG指標連動等、ガバナンス強化など議論を続け、取り組みを推進してきました。今後も東証プライム上場企業としての責任感を持ち、透明性を意識した経営を心がけてまいります。

ステークホルダーの皆様へ

当社はこれからもプラットフォーマーとして、テクノロジーを駆使して人と人とをつなぎ、ファッション業界や地域から頼られる存在であることを目指します。また、大きな転換期を迎えているファッション業界に関わる環境・社会問題の解決にも果敢に挑戦し、ZOZOらしい取り組みでステークホルダーの皆さまと共に解決していきます。

企業理念

企業理念

世界中をカッコよく、
世界中に笑顔を。

経営戦略

MORE FASHION
×
FASHION TECH

〜 ワクワクできる『似合う』を届ける 〜

サステナビリティステートメント

ファッションでつなぐ、
サステナブルな未来へ。

ZOZOらしさ

ソウゾウのナナメウエ /
日々進歩 / 愛

価値創造の軌跡

“ソウゾウのナナメウエ”をいく
ファッションテックカンパニーへ

2023年度 商品取扱高 5,743億円
  • 1998年

    有限会社
    スタートトゥデイ設立

  • 2000年

    輸入販売サイト
    「STMonline」
    サービス開始

  • 2004年

    ファッション通販サイト
    「ZOZOTOWN」
    サービス開始

  • 2006年

    物流拠点
    「ZOZOBASE」
    を開設

  • 2007年

    東京証券取引所
    マザーズ市場に
    上場

  • 2012年

    ブランド古着の
    ファッションゾーン
    「ZOZOUSED」
    サービス開始

  • 2013年

    ファッション
    コーディネートアプリ
    「WEAR」
    サービス開始

  • 2017年

    3D計測用
    ボディースーツ
    「ZOZOSUIT」
    サービス開始

  • 2018年

    株式会社
    スタートトゥデイから
    株式会社ZOZOに
    社名変更

  • 2018年

    物流拠点
    「ZOZOBASE
    つくば1
    」を開設

  • 2019年

    フルフィルメント
    支援サービス
    「Fulfillment by
    ZOZO」を開始

  • 2019年

    マルチサイズ
    サービス開始

  • 2019年

    LINEヤフー
    株式会社との
    資本業務提携

  • 2020年

    足の3D計測用マット
    「ZOZOMAT」
    サービス開始

  • 2020年

    靴の専門モール
    「ZOZOSHOES」
    オープン

  • 2020年

    物流拠点
    「ZOZOBASE
    習志野
    2」を開設

  • 2021年

    フェイスカラー
    計測ツール
    「ZOZOGLASS」
    サービス開始

  • 2021年

    コスメ専門モール
    「ZOZOCOSME」
    オープン

  • 2021年

    ZOZOTOWNと
    ブランド実店舗をつなぐ
    OMOプラットフォーム
    「ZOZOMO」
    サービス開始

  • 2022年

    ボディーマネジメント
    サービス
    「ZOZOFIT」
    サービス開始

  • 2022年

    ショップスタッフの販売
    サポートツール
    「FAANS」
    サービス開始

  • 2022年

    生産支援プラット
    フォーム
    「Made by
    ZOZO」
    サービス開始

  • 超パーソナル
    スタイリングサービス
    「niaulab by ZOZO」
    サービス開始

  • 2023年

    物流拠点
    「ZOZOBASE
    つくば
    3」を開設

  • 1998年 / 有限会社スタート・トゥデイ設立

    輸入CD・レコードのカタログ通信販売を開始。

  • 2004年 / ファッション通販サイト
    「ZOZOTOWN」
    サービス開始

    17のインターネット上のセレクトショップを集積したファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を開始。現在、取り扱いショップ数は1,500以上となり、年間1,100万人を超えるお客様にご利用いただいております。

  • 2007年 / 東京証券取引所マザーズ市場に上場

    上場時のセレモニーでは、当時の役員5人が「NO WAR」を一文字ずつ描いたTシャツを着用した。

  • 2012年 / ブランド古着のファッションゾーン
    「ZOZOUSED」サービス開始

    ブランド古着のファッションゾーン「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を開始。現在、6,500以上のブランドを取り扱い、常時60万点以上の商品アイテムを掲載しております。

  • 2017年 / 3D計測用ボディースーツ
    「ZOZOSUIT」
    サービス開始

    インターネットでお買い物をする際の「サイズへの不安」を解消するためのテクノロジーとして、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を開始。

  • 2019年 / LINEヤフー株式会社との資本業務提携

    LINEヤフー株式会社との資本業務提携を発表(2019年11月 当社が連結子会社化)。創業者の前澤友作が退任し、後任として取締役 澤田宏太郎が代表取締役社長兼CEOに就任。

  • 2022年 / ボディーマネジメントサービス
    「ZOZOFIT」
    サービス開始

    3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT 」を活用した、ワークアウトの進捗をサポートする新サービス、ボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」を米国で開始。

  • 2022年 / 超パーソナルスタイリングサービス
    「niaulab by ZOZO」サービス開始

    ZOZO初のリアル店舗を表参道にオープン、自分の「似合う」が見つかる 超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」を開始。初月の応募倍率は約270倍と好調な滑り出しです。

私たちの強み

国内最大級のユーザー数と若年層への強い訴求力

  • ZOZOTOWNの年間購入者数 1,100万人以上(※)
  • ZOZOTOWN出店ブランドのコアターゲットである若年層ユーザーが全体の5割以上を占める(※)
  • 1,500以上のショップ、9,000以上のブランドを取り扱う(※)
  • LINEヤフーグループとのグループシナジーによる新規顧客開拓

(※)2024年3月末時点

テクノロジーやR&D機能を生かしたファッションサービス

  • 顧客の購買履歴、レビュー、物流情報をマーケティングに活用
  • R&Dに積極的に取り組み、ファッション業界の活性に貢献
  • 体型計測デバイス「ZOZOSUIT」「ZOZOMAT」「ZOZOGLASS」を提供
  • 生産支援プラットフォーム 「Made by ZOZO」をブランド各社へ提供
  • 知的財産の管理体制強化による、知的財産権の取得数増加

ユニークなカルチャーに集まる人材

  • ファッションが好きな社員によるサービス運営
  • ZOZOらしいアクションを表彰する『ナナメウエアワード』を実施(※)
  • 「楽しく働く」ことによって社員の高いエンゲージメントを実現

(※)2023年度のエントリー数89件

次世代育成を通じた地域との強固なつながり

  • 千葉市、つくば市と包括連携協定を締結し、両者が有する資源やノウハウを活かした取り組みを実施
  • 20歳未満の次世代と「つながり」を持ち地域の活性化に貢献
  • 災害時の迅速な寄付・支援体制を構築

成長戦略

ファッション小売市場における現状シェア

「ZOZOTOWN」のターゲット人口における市場規模(オフライン市場+オンライン市場)7.5兆円のEC化率は28%で、オンライン市場を2.1兆円と推計しており、現在の商品取扱高5,300億円から見るとまだまだ拡大の余地は大きいと考えています。引き続き、様々なステークホルダーとつながり、ファッション小売市場における当社のシェアを広げると共に、生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO(MbZ)」での受注生産の推進や計測など各種テクノロジーの開発を行い、ファッション業界における環境や社会への課題解決を行ってまいります。

会員のファッション購買におけるZOZOシェアの図
  • 総務省家計調査データ、電子商取引に関する市場調査報告書、国勢調査及びZOZO独自消費者アンケートより推計
  • ZOZOTOWN本店と Y!SHP 店の合計値(重複登録会員は1人としてカウント)
  • 2024年3月時点のデータを使用

中長期の成長イメージ

経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」のもと、5つの拡大方針「①より幅広い顧客層の取り込み」「②一人あたりの購買頻度向上」「③DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援」「④アパレル以外のカテゴリー拡大」「⑤テクノロジーの収益化」を推進し持続的な成長を目指していきます。

中長期の成長イメージ
  • 矢野経済研究所_2022年版 化粧品マーケティング総監

マテリアリティ

マテリアリティの特定

当社では、重要なステークホルダーから日常的に当社に対する期待、要望、意見を収集しています。当社のサービスユーザー、クライアントからの期待などは、アンケートやインタビューを通じて収集し、既存の株主および他の投資家からの期待も、株主総会や、エンゲージメント・ミーティング、当社への評価データを通じて収集しています。また、業界団体やNGOの方々からの期待などは、ミーティングやインタビューをおこない把握に努めています。これら各ステークホルダーの期待や要望と主要なESG評価項目などの社会からの要請を参考に、当社グループの特性や当社グループの成長への寄与の観点から議論・検討し、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高いマテリアリティ項目を19項目特定しました。

※「マテリアリティ」はSDGs推進委員会にて審議し、2022年3月14日の取締役会にて承認

マテリアリティマップ

マテリアリティマップ

4つの重点取り組み

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