統合報告

Strategy & Business

CFOメッセージ

2023年度の振り返り

2023年度は、「ZOZOTOWN」事業と「LINEヤフーコマース(※)」の商品取扱高拡大による粗利や送料収入等の増加、広告事業の成長による売上が増加したほか、「LINEヤフーコマース」の積極的なプロモーション、延床面積や在庫保管可能点数等の設備能力が最大規模である物流拠点「ZOZOBASEつくば3」が2023年11月に本格稼働したことにより、商品取扱高は5,743億円、営業利益は600億円と、過去最高となりました。

(※)「LINEヤフーコマース」は「Yahoo!ショッピング」と「「ZOZOUSED Yahoo!オークション店」の合算値。

今期は、平均商品単価の上昇およびあわせ買い比率の上昇に伴い、1注文あたりの購入点数が増加したため、平均出荷単価が前期比で4.3%上昇、また、広告宣伝費は実質プロモーション費用の使用用途の変化(前年同期比でポイント等費用の比率上昇)によりコストを効率化することができました。

今後の投資戦略

1. 経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH 〜 ワクワクできる『似合う』を届ける 〜」
経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH 〜 ワクワクできる『似合う』を届ける 〜」を軸に、各施策を展開しています。昨年10周年を迎えたファッションコーディネートアプリ「WEAR」は、今年5月に「WEAR by ZOZO」としてリニューアルしました。AIを活用して、これまで言語化できていなかったユーザーの好みなどをわかりやすく示す機能を搭載するなど、ユーザーへ「似合う」を提供し始めています。また、この「似合う」の提供がZOZOTOWNにもたらす効果も見えてきました。超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」の体験者は、ZOZOTOWNへの訪問頻度が約1.5倍、さらにZOZOTOWNでの購入金額は約2倍に増える傾向にあるため(※)、取得した様々なデータを駆使して「似合う」とは何なのかをさらに解き明かし、オンラインでも「似合う」ファッションとの出合いをもっと提供できるよう引き続き取り組んでまいります。

(※)2023年2月~2024年4月の体験者約1,000人の体験後30日間の行動分析データから算出。応募時の新規および休眠会員を除く

2. アパレルに次ぐカテゴリーの拡張

アパレル以外のカテゴリー強化の一貫として注力してきたコスメ専門モール「ZOZOCOSME」は、人気コスメブランドが相次いで出店したこともあり、商品取扱高が113億円に達し、コスメECの中では最大級の規模になりました。今後も「コスメのことならZOZOTOWN」というイメージの醸成による商品取扱高拡大を目指してまいります。また、次の挑戦の方向性も定めており、今年度はその準備を進めてまいります。

3. 特定ターゲットに狙いを絞った施策
昨年度はより幅広い層を取り込むために、ZOZOTOWNで韓国発ファッションECのポップアップストアの開催や、K-POPアーティストが出演するイベントに協賛したことで、若年層におけるZOZOTOWNの認知度が向上しました。また、ファミリー層の中でも特にママ層を重要なターゲットと捉え、キッズアイテムの訴求をおこなうWebCM等、積極的なプロモーションを実施しました。今後も若年層やファミリー層を重要なターゲットと捉え、ZOZOTOWNの取り扱い商品の幅広さを訴求することで、新規ユーザーを取り込んでいきたいと考えています。

4. 物流拠点への投資
2023年度は、これまで新設した物流拠点に対する設備投資の約4倍を投資し、自動化により既存拠点と比べ、30%の省人化が可能な物流拠点「ZOZOBASEつくば3」を新たに開設しました。今後確実に人口減少が見込まれるため、今年度は既存の物流拠点へ約50億円の設備投資をおこない、更なる自動化を推進することで効率化や省人化を進めてまいります。

資本効率の向上

当社では資本コストを上回る利益を生み出すことが企業価値の増大につながると考え、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標に定め資本効率の高い経営に努めていますが、当社と類似する世界的な企業の水準等を勘案し、最低30%は維持していくことを目標としています。なお、2023年度のROEは55.0%(前年同期実績60.1%)で、日経500種平均株価の採用企業において2年連続で首位となり、目標値を大きく上回っています。

株主還元の方針

当社は、株主の皆様への利益還元について、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に考慮し、内部留保とのバランスを取りながら実施・検討することを基本方針としています。また、株主の皆様への還元も重視し、自己株式の取得も含めた総還元性向として概ね5年平均で80%超(うち配当性向は70%)を目指しています。今後も、当社は健全な財務体質を維持しつつ、資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たすための抜本的な取り組みをおこなうことで、企業価値の向上に全力を尽くしてまいります。

ステークホルダーへのメッセージ

ここ数年、当社が持続的な成長を続けるために、足元の財務課題だけでなく、長期的なサステナビリティ観点での経営強化にも積極的に取り組んできたことで、2024年4月には日経平均の構成銘柄に採用されたほか、様々なESGインデックスへの組み入れや、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する国内株を対象とした6つのESG指数のすべての構成銘柄へ選定されるなど、国内外で高い評価を受けています。

これからも持続的な事業成長を追求し、ファッション業界のプラットフォーマーとして価値あるサービスをステークホルダーの皆様へお届けするとともに、短期と中長期の両面から、企業理念である「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の実現を目指してまいります。

財務ハイライト

  • 商品取扱高

    2023年度 商品取扱高 5,743億円
  • 売上高

    2023年度 売上高 1,970億円
  • 営業利益

    2023年度 営業利益 600億円
  • ROE

    2023年度 ROE 55.0%
  • 配当性向

    2023年度 配当性向 70.2%

業績ハイライトを見る

主なサービス

ZOZOTOWN

https://zozo.jp/

ファッションEC。
1,600以上のショップ、9,000以上のブランドを取り扱う。常時102万点以上の商品数と毎日平均2,600点以上の新着商品を掲載。(2024年6月末時点)
コスメ専門モール「ZOZOCOSME」やシューズ専門ゾーン「ZOZOSHOES」、ラグジュアリー&デザイナーズゾーン「ZOZOVILLA」を展開。
即日配送サービスやギフトラッピングサービス、支払いが2ヶ月後になる「ツケ払い」などの各種サービスを提供。

サービス開始 / 2004年12月15日

WEAR

https://wear.jp/

日本最大級のファッションコーディネートアプリ。ダウンロード数は1,700万件を突破。
幅広いジャンルのユーザーによる1,400万件以上の投稿から、AIによる診断をもとに、あなたに「似合う」コーディネートや最新トレンドが探せて、さらにノウハウ動画やメイク投稿、フルメイクAR機能で、メイクを含む豊富なファッション情報が手に入る。(2024年6月末時点)

サービス開始 / 2013年10月31日

https://zozo.jp/multisize/

https://zozo.jp/multisize/

マルチサイズとは、身長と体重を選択するだけで理想のサイズが購入できる新しい洋服の買い方。2019年秋冬から、ブランドと協働でマルチサイズ(MS)展開したアイテムをZOZOTOWN上で販売開始。

参加ブランド / Audrey and John Wad、Aunt Marie's、Auntie Rosa Holiday、 FREAK'S STORE、FREE'S MART、LOWRYS FARM、nano・universe、NATURAL BEAUTY BASIC、Ungrid 等

サービス開始 / 2019年8月2日

ZOZOUSED

https://zozo.jp/zozoused/

ブランド古着のファッションゾーン。
7,000以上のブランドを取り扱い、常時約90万点の商品アイテムを掲載。(2024年6月末時点)
カジュアルブランドからハイブランドまで幅広いアイテムを中古ならではのお得な価格で販売。

洋服の下取りサービス「買い替え割」。ZOZOTOWNでお買い物の際、過去に購入したアイテムを下取りし、下取り金額分をその場で値引きする「買い替え割」機能や、過去に購入したアイテムをいつでもZOZOポイントと交換できる「いつでも買い替え割」機能を提供。
下取りアイテムを送る際、ZOZOTOWN以外で購入したアイテムも同梱し、買取可能。買取対象ブランドは9,500以上(2024年6月末時点)で、送料・手数料無料。

サービス開始 / 2012年11月12日

※「買い替え割」は株式会社ZOZOの登録商標です。

fbz

https://fbz.zozo.com/

ZOZOTOWN出店企業の自社ECのフルフィルメント支援サービス。
自社EC運営のための撮影・採寸・梱包・配送などの各種フルフィルメント業務を、ZOZOの物流拠点「ZOZOBASE」が受託。設備投資・人件費・在庫保管料などの負担なしで、自社ECの運営が可能。各販売チャネル(自社EC・店舗・ZOZOTOWN)の在庫連携が可能なため、商品欠品による販売機会の損失を最小化。

サービス開始 / 2019年5月20日

ZOZOSUIT

https://corp.zozo.com/measurement-technology/

3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」は、スーツ全体に施されたドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで、身体の精緻な3Dモデル生成が可能。

発表 / 2020年10月

※「旧ZOZOSUIT」は2017年発表、現在はサービス終了

ZOZOMAT

https://zozo.jp/zozomat/

足の3D計測用マット「ZOZOMAT」 は、マット全体に施されたドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで、自宅にいながら簡単に高精度な足の3D計測が可能な計測ツール。マットに片足ずつのせ、それぞれの足をスマートフォンで撮影することで、足長・足幅・足囲などの複数箇所の計測が可能。

ZOZOGLASS

https://zozo.jp/zozoglass/

フェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」は、ECにおけるコスメ購入時の課題であった「色選び」に関する不安や悩みを解消する計測ツール。スマートフォンのカメラで撮影したグラス本体の丸いマーカーによってカラーチップの位置と配置を識別し、正面に施されたカラーチップの色をもとに肌の色を検出、カラーチップ本来の登録カラーとの補正によって肌の色を計測することが可能。

ZOZOFIT

https://zozofit.com/

ボディーマネージメントサービス「ZOZOFIT」は、ジムや自宅にいながら手軽で高精度な3Dボディースキャンおよび計測データのトラッキングを可能にするサービス。
3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」の技術を活用した初のサービスとして、米国にて展開。

サービス開始 / 2022年8月24日

グループ体制図

ZOZOグループは、ZOZO本体での既存事業の推進、親会社であるLINEヤフーグループ(旧Zホールディングスグループ)とのグループシナジー創出、また、グループ会社と迅速なR&Dや新規事業の推進を実施できる経営体制を構築しております。今後も経営戦略を推進するにあたり最適なグループ体制を構築し、持続可能な成長を実現していきます。

グループ体制図

ステークホルダーインタビュー