統合報告

Strategy & Business

CFOメッセージ

2024年度の振り返り

2024年度は、「ZOZOTOWN」ならびに「LINEヤフーコマース(※)」におけるプロモーション施策が、新規顧客の獲得や、既存顧客の定着に効果を発揮したことが後押しとなり、商品取扱高ならびに売上高は過去最高を記録しました。また、物流拠点における作業効率の改善により、人件費を抑制できたことが営業利益の押上要因となっており、これらの取り組みにより、6期連続で過去最高益を更新することができました。

なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比2.3%の増加となりました。前期比7.8%増となった営業利益に比べてやや緩やかな伸びとなった要因は、前期におけるサステナビリティ関連の取り組みに対する税額控除の反動減が影響していますが、当期純利益も計画通りの着地となっております。

※LINEヤフーコマースは「Yahoo!ショッピング」と「Yahoo!オークション」の合算値。

今後の投資戦略

経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」のもと、各施策を展開しています。
国内においては、2024年8月より物流拠点「DPLつくば中央」の稼働を開始したほか、既存拠点の設備の入れ替えを進めるなど、物流体制の一層の強化に取り組んでいます。また、2024年12月に韓国のファッション企業「MUSINSA」と戦略的パートナーシップに向けたMOUを締結しました。MUSINSAが取り扱う豊富な韓国ブランドのZOZOTOWN内での展開を見据え、現在準備を進めています。こうした取り組みを通じて、カテゴリーの拡大を図るとともに、新たなカテゴリーへの挑戦にも引き続き積極的に取り組んでいきます。

さらに、2024年にリニューアルしたファッションコーディネートアプリ「WEAR by ZOZO」は、ファッションの最新トレンドを探せる機能に加え、AIを活用した、お客様の好みのジャンルを言語化するサービス「ファッションジャンル診断」を2024年5月から提供しています。加えて、2025年6月には、これらの当社のノウハウやテクノロジーを駆使した、ZOZO独自のAIが「好みの雰囲気」の相手を紹介するマッチングアプリ「ZOZOマッチ」の提供も開始しました。

こうした国内でのサービス拡充に加え、当社はグローバル展開を視野に入れたサービスやテクノロジーの開発にも挑戦しており、米国等にて個人向けの3Dボディースキャンサービス「ZOZOFIT」を提供しています。また、2025年4月には、欧米を中心に高い人気を誇るファッションショッピングプラットフォーム「Lyst」を運営するLYSTを当社グループに迎えました。欧州市場におけるLYSTのブランド力とユーザー基盤、当社が強みとするAIや計測テクノロジーを組み合わせることで、ユーザー体験の高度化と収益性をともに向上させ、欧米でのEC・メディア領域の展開を本格化させていきます。この提携により、これまでアプローチが難しかった欧米市場およびラグジュアリー市場へのアクセスが可能となり、当社の海外戦略を、新たなステージへと進めていきたいと考えています。

現在、海外ファッションEC市場は、価格競争や送料無料施策の拡大、柔軟な返品対応など、顧客利便性を重視したサービスが広がっています。一方で、事業全体の収益性やブランド価値の低下につながる構造的な課題が顕在化していると認識しています。こうした市場環境に対して当社は、「体験価値」を競争軸とする新たな市場モデルの構築を目指してまいります。

資本効率の向上

当社は、資本コストを上回る利益の創出が企業価値の持続的な向上に不可欠であると考え、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として位置づけています。資本効率の高い経営の実現に向けて、当社と類似する世界的な企業の水準等を参考に、ROE30%以上の維持を目標として掲げています。2024年度のROEは49.4%となり、引き続き目標値を大きく上回る水準を維持しています。今後も、適切な成長投資と資本政策の実行を通じて、資本効率と企業価値のさらなる向上に努めてまいります。

株主還元の方針

当社グループでは、株主の皆様への利益還元について業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを取りながら検討・実施していくことを基本方針としています。こうした考えのもと、2023年10月に「自己株式の取得も含めた総還元性向について、2024年3月期以降の5年平均で80%超を目指す」という新方針を発表しました。この方針に基づき、自己株式の取得を2025年4月に決定し、同年7月に取得を完了しています。また、保有していた自己株式の一部についても、消却を実施いたしました。今後も、資本コストを上回る資本収益性の実現を目指すとともに、中長期的な企業価値向上と株主還元の両立に取り組んでまいります。

ステークホルダーへのメッセージ

当社は、持続的な成長の実現に向け、財務とサステナビリティの両面から経営基盤の強化に取り組んでいます。資本効率の高い経営を維持しつつ、ESGの取り組みやステークホルダーとの建設的な対話、さらにはESG評価機関からのフィードバックを経営に的確に反映することで、MSCI ESGレーティングにおいて最高評価「AAA」を獲得、CDPの気候変動分野においても最高評価「Aリスト」に選定されるなど、社外から高い評価をいただいています。また、韓国のファッション企業MUSINSAとのMOU締結や、LYSTの子会社化などを通じて、新たな成長機会を着実に捉えています。これからも、ファッション業界のプラットフォーマーとして価値あるサービスをステークホルダーの皆様へお届けするとともに、企業理念「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」の実現に向け、挑戦を続けてまいります。

財務ハイライト

  • 商品取扱高

    2024年度 商品取扱高 6,143億円
  • 売上高

    2024年度 売上高 2,131億円
  • 営業利益

    2024年度 営業利益 647億円
  • ROE

    2024年度 ROE 49.4%
  • 配当性向

    2024年度 配当性向 70.1%

主なサービス

ZOZOTOWN

https://zozo.jp/

ファッションEC。
1,600以上のショップ、9,000以上のブランドを取り扱う。常時107万点以上の商品数と毎日平均2,700点以上の新着商品を掲載。(2025年6月末時点)
コスメ専門モール「ZOZOCOSME」やシューズ専門ゾーン「ZOZOSHOES」、ラグジュアリー&デザイナーズゾーン「ZOZOVILLA」を展開。
即日配送サービスやギフトラッピングサービス、支払いが2ヶ月後になる「ツケ払い」などの各種サービスを提供。

サービス開始 / 2004年12月15日

WEAR

https://wear.jp/

日本最大級のファッションコーディネートアプリ。ダウンロード数は1,900万件を突破。
幅広いジャンルのユーザーによる1,400万件以上の投稿から、AIによる診断をもとに、あなたに「似合う」コーディネートや最新トレンドが探せて、さらにノウハウ動画やメイク投稿、フルメイクAR機能で、メイクを含む豊富なファッション情報が手に入る。(2025年6月末時点)

サービス開始 / 2013年10月31日

https://zozo.jp/multisize/

https://zozo.jp/multisize/

マルチサイズとは、身長と体重を選択するだけで理想のサイズが購入できる新しい洋服の買い方。2019年秋冬から、ブランドと協働でマルチサイズ(MS)展開したアイテムをZOZOTOWN上で販売開始。

参加ブランド / Audrey and John Wad、Aunt Marie's、Auntie Rosa Holiday、 FREAK'S STORE、FREE'S MART、LOWRYS FARM、NANO universe、NATURAL BEAUTY BASIC、Ungrid 等

サービス開始 / 2019年8月2日

ZOZOUSED

https://zozo.jp/zozoused/

ブランド古着のファッションゾーン。
平均約7,000のブランドを取り扱い、毎日1万点以上の新着アイテムを掲載。(2024年度末時点)
カジュアルブランドからハイブランドまで幅広いアイテムを中古ならではのお得な価格で販売。

洋服の下取りサービス「買い替え割」。ZOZOTOWNでお買い物の際、過去に購入したアイテムを下取りし、下取り金額分をその場で値引きする「買い替え割」機能や、過去に購入したアイテムをいつでもZOZOポイントと交換できる「いつでも買い替え割」機能を提供。
下取りアイテムを送る際、ZOZOTOWN以外で購入したアイテムも同梱し、買取可能。買取対象ブランドは9,700以上(2025年6月末時点)で、送料・手数料無料。

サービス開始 / 2012年11月12日

※「買い替え割」は株式会社ZOZOの登録商標です。

fbz

https://fbz.zozo.com/

ZOZOTOWN出店企業の自社ECのフルフィルメント支援サービス。
自社EC運営のための撮影・採寸・梱包・配送などの各種フルフィルメント業務を、ZOZOの物流拠点「ZOZOBASE」が受託。設備投資・人件費・在庫保管料などの負担なしで、自社ECの運営が可能。各販売チャネル(自社EC・店舗・ZOZOTOWN)の在庫連携が可能なため、商品欠品による販売機会の損失を最小化。

サービス開始 / 2019年5月20日

ZOZOSUIT

https://corp.zozo.com/measurement-technology/

3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」は、スーツ全体に施されたドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで、身体の精緻な3Dモデル生成が可能。

発表 / 2020年10月

※「旧ZOZOSUIT」は2017年発表、現在はサービス終了

ZOZOMAT

https://zozo.jp/zozomat/

足の3D計測用マット「ZOZOMAT」 は、マット全体に施されたドットマーカーをスマートフォンのカメラで360度撮影することで、自宅にいながら簡単に高精度な足の3D計測が可能な計測ツール。マットに片足ずつのせ、それぞれの足をスマートフォンで撮影することで、足長・足幅・足囲などの複数箇所の計測が可能。

ZOZOGLASS

https://zozo.jp/zozoglass/

フェイスカラー計測ツール「ZOZOGLASS」は、ECにおけるコスメ購入時の課題であった「色選び」に関する不安や悩みを解消する計測ツール。スマートフォンのカメラで撮影したグラス本体の丸いマーカーによってカラーチップの位置と配置を識別し、正面に施されたカラーチップの色をもとに肌の色を検出、カラーチップ本来の登録カラーとの補正によって肌の色を計測することが可能。

ZOZOFIT

https://zozofit.com/

3Dボディースキャンサービス「ZOZOFIT」は、ジムや自宅にいながら手軽で高精度な3Dボディースキャンおよび計測データのトラッキングを可能にするサービス。
3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」の技術を活用した初のサービスとして、米国にて展開。

サービス開始 / 2022年8月24日

グループ体制図

ZOZO本体での既存事業の推進/親会社とグループシナジーの推進/グループ会社での迅速なR&Dや新規事業の推進を実施できるグループ経営体制を構築しております。今後も経営戦略を推進するにあたって最適なグループ体制を構築し、持続可能な成長を実現していきます。

グループ体制図

ステークホルダーインタビュー