INTERVIEW
Christine EDMAN
Executive Officer
「早朝のプレゼン練習」クリスティン・エドマンの
新人時代- 新人時代について、教えてください。
私の新人時代は、好奇心に溢れていて、とにかく少しでも早く仕事を覚えたくてありとあらゆることをノートにメモしたり、誰よりも早く出社していました。
新しい商品のプレゼンをする時には、よく早朝から会議室にこもって、鏡の前で練習したりしていたことを覚えています。
もちろん何度も壁にぶつかり、何度も転びましたが、自分にしかできない事を見つけようと仕事を楽しむ姿勢は貫いていたように思います。
新人だった頃と今とでは、オーナーシップに対する意識が大きく変わりました。スイッチが入ったのは、父が経営する会社に転職したタイミングです。ゼロから新規事業を立ち上げることになり、それまでに経験したことのないプレッシャーを感じました。
すごくハードな毎日を過ごしましたが、強いオーナーシップを持って本気で取り組む仕事が、どれほど充実していて楽しいかを、実感を持って学ぶことができた素晴らしい機会でもありました。
- 社会人生活の中で培った、自事(※)のポリシーについて教えてください。
一つ目は、「ワーク・ライフ・インテグレーション」です。
自事と生活を分けて考える「ワーク・ライフ・バランス」ではなく、自事も生活も上手く融合させて、どちらも諦めることなく理想を追う生き方をしたいと考えています。
以前、H&Mジャパンの代表を務めていた頃、本社のCEOが日本を訪れたことがありました。私はその期間、代表に付きっきりで毎日を過ごすと思っていたのですが、彼女は「早く家に帰りなさい」と言うのです。
彼女は、私に小さな子どもがいることを知っていたので、「家族を優先するように」と言ったのです。
彼女にとって、自事と生活を両立させるのは当たり前の考えでした。その姿があまりにも素敵で、それからずっと、私も「ワーク・ライフ・インテグレーション」を目指し続けています。
二つ目は、「バスの運転手」でいる意識です。
リーダーの責任を果たすには、会社に合ったスタッフを採用し、彼・彼女らに正しい席を与え、もし今の環境に合わないスタッフがいるのであれば、それを伝えてあげる必要があると考えています。
これをバスに例えると、すごく分かりやすいんです。乗せる人を見極め、座ってもらう席を慎重に選び、ときに、その人や組織のためを思って、別のバスや席に移ってもらうことも考える。マネージャーは、メンバーのポテンシャルを最大限に発揮させる責任を負っていることを、忘れてはいけないと思います。
- ZOZOでは、仕事のことを「仕事(仕えること)」ではなく「自事(自然なこと)」であるという意味を込めて、「自事」と表記します
どこよりもユニークな“ZOZOファミリー”に
仲間入り- ZOZOでの忘れられない一日について、教えてください。
入社して初めて、ZOZOのスタッフと会った日です。お互いをニックネームで呼び合い、まるで本当の家族のように打ち解けているスタッフの姿を見て、ポジティブな衝撃を受けました。
言葉にせずとも、一緒に働くスタッフを大切にしているのが伝わってきたんです。だからこそこの会社は、業界の常識を変えるような取り組みを成功させてこられたのだと確信しました。
社内限定のラジオ番組「DJさわだのナナメウエラジオ!!」では、スタッフのエピソードを紹介したり、社長の澤田に直接質問をしたり、気軽にコミュニケーションを取れるコーナーも存在します。
さらには、そうしたユニークネスなカルチャーを広めていく「フレンドシップマネージメント部」という部署も存在しているんです。
これだけ信頼関係を築けているチームなら、きっと困難な挑戦も乗り越えられるはず。そのファミリーの一員になれたことは、私にとってとても光栄なことです。
- 2022年、新たに「ワクワクできる『似合う』を届ける」を経営戦略に追加しました。クリスティンさんにとっての「似合う」とは、どのようなものでしょうか。
ファッションは、自由に自分を表現できるツールだと思っています。ルールブックが存在しないので、オケージョンによってアレンジしてみたり、ハイブランドとプチプラブランドの洋服を組み合わせてコーディネートしてみたり、とにかく好きなように着飾っていいんです。
ただ、自己表現をするのはときに勇気がいることですから、少なからず自信が必要だと思っています。
自信を持つには、好きなものを好きだと再認識し、それを体現することが必要です。その過程を繰り返していけば、きっと、その人の「似合う」にたどり着けると思います。
ZOZOTOWNは“Generation Z Hub”へ
- 10年後のZOZOは、どうあるべきだと思いますか?
“Generation Z Hub(Z世代が集う場所)”になっていく必要があると思っています。
「ZOZOTOWN」は現在、ファッションのプラットフォームです。しかし、いずれはその枠を飛び出し、恋愛や旅行、ゲームといったあらゆる領域で、ファッションテックを軸に、若者が集う場所にしていきたいです。「朝起きたら、まずはZOZOTOWNを開く」というくらいに欠かせない、生活のインフラを目指していきます。
そして、どんなときもサステナブルであることを忘れてはいけないと思っています。サステナブルな商品を取り扱い、ダイバーシティが意識されたプラットフォームとして、社会に貢献しながらユーザーに幸せを届けていく。それが、私が考える、10年後のZOZOが目指すべき姿です。
そのために私ができることは、挑戦するスタッフの背中を押し、仮に失敗しても、再び挑戦する勇気を与えることだと思っています。
まだ誰もやったことがないチャレンジをしていくのですから、失敗はつきものです。下を向きたくなることがあっても「ナイストライ」と声をかけながら、個人の成長も支援していきます。
チームワークは、仲間を思いやる気持ちから
- お気に入りの自事道具について、教えてください。
心身をケアする、ハンドクリームとローション、そしてアロマキャンドルです。
初めて経営のポジションを任された頃、子育てをしながら仕事に汗を流し、常に走りっぱなしの毎日を送っていました。
それを見た当時のメンバーたちが、私のデスクに体をケアするアイテムを置いていてくれたんです。とても嬉しかったですし、仲間を思う気持ちに上司も部下もないのだと心が温かくなりました。
それ以来、ひと息つくタイミングを大切にするようにしています。「ワーク・ライフ・インテグレーション」を実践するためにも欠かせないアイテムですし、チームワークの重要性を思い出させてくれるので、私にとって欠かせない自事道具です。