2024年03月25日
千葉大生と考えるファッションと人権
当社は、2019年2月に千葉市 、国立大学法人千葉大学の双方と包括的連携協定を締結しており、西千葉エリアで新たな価値を生み出すまちづくりを目指しています。2022年度からは、千葉大学のEMS(環境マネジメントシステム)運用をはじめ、SDGsに関わる様々な啓発活動を実施している千葉大学環境ISO学生委員会と共に「ファッションとサステナビリティ」をテーマに、様々な企画をおこなってきました。
当社と千葉大学環境ISO学生委員会の共同プロジェクトは、学生が環境・ダイバーシティ・文化・人権の4つの班に分かれ、それぞれの課題を解決する企画を検討し、共に実施・運営をしています。「人権班」は環境ISO学生委員会に所属する2年生5人、1年生4人で構成されており、ファッションにまつわる人権問題について、学生が自ら学び・啓発していくため、班員同士の勉強会や人権問題に取り組む企業、ZOZOTOWN出店ブランドである「THE BODY SHOP」様・「Nudie Jeans」様にご協力いただき取材を実施しました。また、取材した内容は当社社員に向けて報告会をおこなったほか、2023年12月11日(月)にZOZOSTUDIOにて人権問題に関する映画の上映会を開催しました。
~人権班による取材レポート~
実施内容
2023年6月 「人権班」勉強会
2023年9月 THE BODY SHOP取材
2023年10月 Nudie Jeans取材
2023年12月 人権問題に関する映画の上映会
THE BODY SHOP取材レポート
THE BODY SHOPはイギリスで1976年にアニータ・ロディックによって創業されたブランドです。世界各地で古くから伝承されてきた天然の植物原料を用いて製品を作り、それと同時に、社会の様々な事案を問題提起する活動をおこなっています。その活動のひとつに1987年からおこなっている「コミュニティフェアトレード」という取り組みがあります。これは、世界の貧困地域の経済的自立のために、一時的な取引や支援ではなく、継続した取引をおこなうというものです。この取り組みは、貧困解決のためにはフェアトレードが最も有効という発想が元となっており、現在インドやネパール、ガーナなど18ヵ国14のサプライヤーと取引をしています(※)。また、トレーサビリティの観点から、生産過程において人権侵害が起きていないかを把握するために、独自の方針をもとに監査の基準を立てているそうです。
(※)出典:THE BODY SHOP
THE BODY SHOPは、商品の品質を向上させて多くの人々に商品を手に取ってもらうことで企業の取り組みを伝え、人権問題をはじめとした社会問題について関心を持ってもらおうと取り組んでいます。社会の中で見過ごされている問題の周知や、途上国の自立や成長を促す様々な活動に力を注いでいる企業の姿勢を見て、私たちもこのような企業の取り組みについてまず知ろうとすることが大切なんだと思いました。
Nudie Jeans取材レポート
Nudie jeansは「修理」「リユース」「リサイクル」「材料」「生活賃金」「気候」を軸にサステナビリティ活動をおこなう、イノベイティブなデニムブランドです。2017年にはすべてのコットン製品においてオーガニックコットン100%化を達成しており、フェアトレードコットンの使用、フェアトレードプレミアム(※)による農家のサポートをおこなっています。
私たちが普段何気なく購入しているジーンズですが、服が人や環境に及ぼす影響について考える大変貴重な機会となりました。取材を通して、フェアトレードの商品を選ぶことが農家のビジネス拡大に貢献し、フェアトレードを推進させるということを学んだので、今後は消費者としてなるべくフェアトレードの商品を選んでいきたいと思いました。また、今後は人権問題だけに留まらずに、それらに関連する問題にも目を向けたいと思います。
(※)輸入組織により品物の代金とは別に支払われる組合や地域の経済的・社会的・環境的開発のために使われる資金のこと 出典:フェアトレードジャパン
取材で学んだ私たちにできること
取材させていただいた二つの企業様から、「商品にまず興味を持ってほしい」という話をしていただきました。どこでどのように、何から作られているかを知ることで、フェアトレードなどの過程についても認識することができます。これから私たちが買う商品について考える機会を増やし、発信をしていきたいと強く感じました。
映画の上映会の実施
勉強会やブランド様への取材を通して、ファッションの人権問題について多くの人に知って貰いたいと考え、映画の上映会をZOZOSTUDIOにて実施しました。上映会では、千葉大学の学生・ZOZOの社員を対象に『The True Cost ~ファストファッション 真の代償~』の鑑賞をおこないました。当日は学生・大学職員・千葉市役所職員ら約30名が会場に集まりました。上映会ではまず、人権班の主な活動内容として勉強会やブランドへの取材、ワークショップで学んだ内容についての発表をおこない、その後、映画を鑑賞しました。映画は、2013年にインドネシアで起こったラナ・プラザ崩落をメインテーマとしており、ファストファッションの色鮮やかな見た目とは裏腹な、作り手側の健康問題、雇用主による人権侵害がリアルに映し出されていました。映画の上映後に参加者へ感想を聞いてみると「普段何気なく買っているファストファッションの生産者が、劣悪な労働環境に置かれていることを知らなかった」、「服の製造拠点がある途上国の様子はまるで地獄絵図だった」、「自分にできることは何だろうと考えさせられた」などの感想が寄せられました。また、ZOZOでファッションの生産を担当する社員の方からは「まずは知ることが重要。そして考え、実際に行動してみることが大切」とアドバイスがありました。私たちもこの映画を見て、「安いから服を買い、いらなくなったら捨てればいいという服に対する購買意識」に多くの疑問を感じました。そして、感じたことや考えたことをそのままにせずに、行動に移さなくてはいけないと今回の企画を通して感じました。
(「人権班による取材レポート」は人権班の学生が作成しました。)
今後も、未来を担う若者と共に様々な取り組みをおこなうことで、持続可能な地域・社会への貢献に取り組んでまいります。
参考リンク
株式会社ZOZO、千葉市、千葉大学と包括的連携協定を締結し、西千葉エリアで新たな価値を生み出すまちづくりを目指す
THE BODY SHOP コミュニティフェアトレード