統合報告

Vision

CEOメッセージ

ファッションとテックと人をつなぐ

当社は、インターネットで服を買うことも売ることも当たり前ではなかった時代に、「想像」と「創造」が行き交う街というコンセプトのもと「ZOZOTOWN」を提供し、独自の手法やテクノロジーで常識を覆してきました。新型コロナウイルス感染症が拡大し、人々の生活様式やファッション業界が変化する中でも、当社の強みであるファッションとテックと人をつなぎ、関わるすべてのみなさまとともに、課題を解決することに挑戦してきました。

5つの成長戦略

当社では、「ZOZOTOWN」のターゲット人口を10代後半から50代までの6,400万人と捉えていますが、ターゲット人口における市場規模(オフライン市場+オンライン市場)7.5兆円のEC化率は28%で、オンライン市場を2.1兆円と推計しており、現在の取扱高5,000億円から見るとまだまだ拡大の余地は大きいと考えています。
経営戦略に「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」を掲げ、従前より事業の成長を加速させるための戦略の3本柱として、「『買う』以外のトラフィックも増やす」「生産支援に踏み込む」「技術ライセンスの販売にトライ」に注力してまいりました。今年度はそれらを具体的に推進していくための拡大方針として、「1.より幅広い顧客層の取り込み」「2.一人あたりの購買頻度向上」「3.DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援」「4.アパレル以外のカテゴリー拡大」「5.テクノロジーの収益化」の5つを策定し取り組みを進めてまいります。

1. より幅広い顧客層の取り込み

アクティブ会員数は右肩上がりで増加しています。新規会員獲得の成功により、昨年度の新規会員獲得数は過去最高となりました。さらに、市場にはまだアクティブ会員と同じくらいの潜在顧客がいると認識しており、今後は、細かいターゲットセグメントに分解し、伸び代を意識した獲得施策を実施することで成長につなげてまいります。

2. 一人あたりの購買頻度向上

昨年、「ZOZOTOWN」ユーザーに対して「ファッションに関する意識調査」を実施したところ、多くのお客様が、単に「洋服を欲しい」と思っているのではなく「自分に似合う服を着たい」と感じていることがわかりました。ただ、同時に多くの方が「『似合う』とはどういうことなのかわからない」と思っていることも明らかになりました。そのことから、『似合う』を解明することを目的に、2022年12月に東京・表参道にZOZO初となるリアル店舗「niaulab by ZOZO」をオープンしました。『似合う』を解明することが、新規ユーザーの獲得につながるほか既存ユーザーに今まで以上にサービスを利用してもらうこととなり、ひいては今後の当社の成長につながると考えています。
また、2021年にローンチした、ZOZOTOWNとブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム「ZOZOMO」では、ブランド様の実店舗と在庫連携をおこなうことで「ZOZOTOWN」上での購入機会の損失を減らし、ユーザーの購買頻度を向上させてまいります。

3. DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援

2022年9月に開始した、最低1着から商品を受注し、生産して最短10日で発送する生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO(MbZ)」は、ブランド様から、在庫リスクゼロで販売できる点、幅広いカラー展開が出来る点などを評価いただいています。参加ブランド数が増え、半年間の実績は、生産型数が461型、生産枚数および販売枚数は12万枚でした。既存のブランドで採用いただくだけでなく、SHIPS社が「MbZ」を利用した「ZOZOTOWN」オリジナルブランドを2023SSより立ち上げるなど、「MbZ」を活用したブランド様の新しい取り組みも生まれています。今後も、参加していただくブランド様を増やしながら生産効率を向上させることで、早期に二桁億円の利益創出を目指してまいります。

4. アパレル以外のカテゴリー拡大

当社は、アパレル以外のカテゴリー強化の一貫としてコスメ専門モール「ZOZOCOSME」を2021年に開始し、この2年間はまず売り場として必要な環境を整え、「ZOZOTOWN」で培ったノウハウを生かすことに注力してきました。その結果、昨年度の商品取扱高は91億円と国内ECでも最大級の規模となりました。それでも、現在のアクティブ会員数に占めるコスメ購買者の割合は19%にとどまっており、まだまだ拡大の余地は大きいと考えています。「最大級」の規模に甘んじることなく「国内最大」のコスメモールとなることを目指し、また、「ZOZOCOSME」で得た新規カテゴリーの展開ノウハウを活かし、次なるカテゴリーを探索してまいります。

5. テクノロジーの収益化

当社が開発した、精緻な身体の3Dモデル生成を可能にした3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を活用し、2022年8月に米国で開始したボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」において、2023年3月までに約8,300枚の「ZOZOSUIT」を販売しました。本事業はまだまだ手探りの状態ですが、サービス開始から半年を経て、想定していなかったようなニーズが見つかるなど様々な発見がありました。今後もテクノロジーを活用した新たな事業の成長を目指し、取り組みを進めてまいります。

環境への取り組み

気候変動に関連して、2022年度には、温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロにする「ネットゼロ」の発表や、TCFDの提言に基づいた気候関連のリスクと機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示、「SBTイニシアティブ(SBTi)」へのコミットメントレターの提出など、サプライチェーンも含めた取り組みを新たに実施しました。その他にも、当社拠点の電力消費量のうち9割以上を再生可能エネルギーに変更するほか、幹線輸送における積載効率の向上や、配達時の置き配の推奨など、配送に伴うCO2削減の取り組みもおこないました。廃棄物については、開始から10年を迎えたリユース事業「ZOZOUSED」で、使わなくなったファッション関連商品の買い取りをおこなうほか、お客様からの注文後に商品の生産(受注生産)をおこなう生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」を導入し取引先ブランド様へ提供することで、ファッション業界の課題である大量生産・大量廃棄の削減に取り組んでいます。自然資本に関しては、FSC認証(※1)取得済の段ボールや環境に配慮したバイオマスを原料とする梱包資材の採用、納品書兼領収書の電子化による紙使用量の削減の他、商品を配送用段ボールに入れる際に使用する緩衝材をプラスチック素材から再生紙100%の素材に変更するなど、森林破壊の抑制や、生物多様性/生態系の維持、強化、保全に努めています。
今後も、取引先や昨年から加盟しているJSFA(※2)など様々なステークホルダーとともにサプライチェーン全体の環境問題の解決に取り組んでまいります。

(※1)FSC認証とは・・・持続可能な森林活用・保全を目的として誕生した「適切な森林管理」を認証する国際的な制度
(※2)JSFAとは・・・ファッション・繊維企業が加盟し、経済産業省、環境省、消費者庁がパブリックパートナーとなっている持続可能なファッション産業を目指すアライアンス

社会への取り組み

当社は、社員一人ひとりの多様なライフスタイルとキャリア形成を支援するため、人事制度や手当、働き方をアップデートした「ZOZO WORKSTYLE」を2023年4月に始動しました。また、昨年度「2030年までに上級管理職(部長以上)の女性比率を30%以上にする」という目標を掲げ、女性社員のさらなる活躍のための施策を積極的に推進することで、継続的に女性管理職比率を向上させてまいります。また、「2030年までに20歳未満の次世代100万人と『つながり』を持ち地域の活性化に貢献する」という目標の達成に向けては、包括的連携協定を結んでいる千葉市とつくば市で、小学生から大学生までの学生に向けた出前授業や次世代の産業を担う子どもたちの起業家精神を育む「ちばアントレプレナーシップ教育コンソーシアム Seedlings of Chiba」を通した活動などをおこなっています。今後も活動の幅を広げ、目標の達成を目指してまいります。

ガバナンスへの取り組み

当社は、経営における健全性や透明性を常に意識し、持続的な企業価値の向上やコーポレート・ガバナンス体制をより一層強化するため、2023年6月に監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。現在、11名で構成されている取締役のうち5名が女性(取締役の女性比率は45.4%)で、6名が社外取締役(社外取締役比率は54.5%)となっています。また、2023年6月より役員報酬にESG指標を連動させました。他にも、すべてのお取引先様向けの「ZOZOサステナビリティ調達方針」の策定や「パートナーシップ構築宣言」など、当社の考えや方針の開示を積極的に進めてまいりました。今後も、東証プライム上場企業として透明性を高め社会的責任を果たすため、コーポレート・ガバナンスの強化を進めてまいります。

ステークホルダーの皆さまへ

当社はこれからもZOZOらしく日々進歩し、愛を持って、ソウゾウのナナメウエをいくやり方で、いつまでもファッションを楽しみ続けることが出来る世界をつくってまいります。そのために環境・社会問題にも果敢に挑戦し、ステークホルダーの皆様とともに、地球の課題を革新的なやり方で解決してまいります。

企業理念

企業理念

世界中をカッコよく、
世界中に笑顔を。

経営戦略

MORE FASHION
×
FASHION TECH

〜 ワクワクできる『似合う』を届ける 〜

サステナビリティステートメント

ファッションでつなぐ、
サステナブルな未来へ。

ZOZOらしさ

ソウゾウのナナメウエ /
日々進歩 / 愛

価値創造の軌跡

“ソウゾウのナナメウエ”をいく
ファッションテックカンパニーへ

2022年度 商品取扱高 5,443億円
  • 1998年

    有限会社
    スタートトゥデイ設立

  • 2000年

    輸入販売サイト
    「STMonline」
    サービス開始

  • 2004年

    ファッション通販サイト
    「ZOZOTOWN」
    サービス開始

  • 2006年

    物流拠点
    「ZOZOBASE」
    を開設

  • 2007年

    東京証券取引所
    マザーズ市場に
    上場

  • 2012年

    ブランド古着の
    ファッションゾーン
    「ZOZOUSED」
    サービス開始

  • 2013年

    ファッション
    コーディネートアプリ
    「WEAR」
    サービス開始

  • 2017年

    3D計測用
    ボディースーツ
    「ZOZOSUIT」
    サービス開始

  • 2018年

    株式会社
    スタートトゥデイから
    株式会社ZOZOに
    社名変更

  • 2018年

    物流拠点
    「ZOZOBASE
    つくば1
    」を開設

  • 2019年

    フルフィルメント
    支援サービス
    「Fulfillment by
    ZOZO」を開始

  • 2019年

    マルチサイズ
    サービス開始

  • 2019年

    LINEヤフー
    株式会社との
    資本業務提携

  • 2020年

    足の3D計測用マット
    「ZOZOMAT」
    サービス開始

  • 2020年

    靴の専門モール
    「ZOZOSHOES」
    オープン

  • 2020年

    物流拠点
    「ZOZOBASE
    習志野
    2」を開設

  • 2021年

    フェイスカラー
    計測ツール
    「ZOZOGLASS」
    サービス開始

  • 2021年

    コスメ専門モール
    「ZOZOCOSME」
    オープン

  • 2021年

    ZOZOTOWNと
    ブランド実店舗をつなぐ
    OMOプラットフォーム
    「ZOZOMO」
    サービス開始

  • 2022年

    ボディーマネジメント
    サービス
    「ZOZOFIT」
    サービス開始

  • 2022年

    ショップスタッフの販売
    サポートツール
    「FAANS」
    サービス開始

  • 2022年

    生産支援プラット
    フォーム
    「Made by
    ZOZO」
    サービス開始

  • 超パーソナル
    スタイリングサービス
    「niaulab by ZOZO」
    サービス開始

  • 1998年 / 有限会社スタート・トゥデイ設立

    輸入CD・レコードのカタログ通信販売を開始。

  • 2004年 / ファッション通販サイト
    「ZOZOTOWN」
    サービス開始

    17のインターネット上のセレクトショップを集積したファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を開始。現在、取り扱いショップ数は1,500以上となり、年間1,100万人を超えるお客様にご利用いただいております。

  • 2007年 / 東京証券取引所マザーズ市場に上場

    上場時のセレモニーでは、当時の役員5人が「NO WAR」を一文字ずつ描いたTシャツを着用した。

  • 2012年 / ブランド古着のファッションゾーン
    「ZOZOUSED」サービス開始

    ブランド古着のファッションゾーン「ZOZOUSED(ゾゾユーズド)」を開始。現在、6,500以上のブランドを取り扱い、常時60万点以上の商品アイテムを掲載しております。

  • 2017年 / 3D計測用ボディースーツ
    「ZOZOSUIT」
    サービス開始

    インターネットでお買い物をする際の「サイズへの不安」を解消するためのテクノロジーとして、3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT」を開始。

  • 2019年 / LINEヤフー株式会社との資本業務提携

    LINEヤフー株式会社との資本業務提携を発表(2019年11月 当社が連結子会社化)。創業者の前澤友作が退任し、後任として取締役 澤田宏太郎が代表取締役社長兼CEOに就任。

  • 2022年 / ボディーマネジメントサービス
    「ZOZOFIT」
    サービス開始

    3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT 」を活用した、ワークアウトの進捗をサポートする新サービス、ボディーマネジメントサービス「ZOZOFIT」を米国で開始。

  • 2022年 / 超パーソナルスタイリングサービス
    「niaulab by ZOZO」サービス開始

    ZOZO初のリアル店舗を表参道にオープン、自分の「似合う」が見つかる 超パーソナルスタイリングサービス「niaulab by ZOZO」を開始。初月の応募倍率は約270倍と好調な滑り出しです。

成長戦略

ファッション小売市場における現状シェア

「ZOZOTOWN」のターゲット人口における市場規模(オフライン市場+オンライン市場)7.5兆円のEC化率は28%で、オンライン市場を2.1兆円と推計しており、現在の商品取扱高5,000億円から見るとまだまだ拡大の余地は大きいと考えています。引き続き、様々なステークホルダーとつながり、ファッション小売市場における当社のシェアを広げると共に、生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO(MbZ)」での受注生産の推進や計測など各種テクノロジーの開発を行い、ファッション業界における環境や社会への課題解決を行ってまいります。

会員のファッション購買におけるZOZOシェアの図
  • 総務省家計調査データ、電子商取引に関する市場調査報告書、国勢調査及びZOZO独自消費者アンケートより推計
  • ZOZOTOWN本店と Y!SHP 店の合計値(重複登録会員は1人としてカウント)
  • 2023年4月時点のデータを使用

中長期の成長イメージ

経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH ~ ワクワクできる『似合う』を届ける ~」のもと、5つの拡大方針「①より幅広い顧客層の取り込み」「②一人あたりの購買頻度向上」「③DXによる受注生産の効率化で実現する生産支援」「④アパレル以外のカテゴリー拡大」「⑤テクノロジーの収益化」を推進し持続的な成長を目指していきます。

中長期の成長イメージ
  • 矢野経済研究所_2022年版 化粧品マーケティング総監

マテリアリティ

マテリアリティの特定

当社では、重要なステークホルダーから日常的に当社に対する期待、要望、意見を収集しています。当社のサービスユーザー、クライアントからの期待などは、アンケートやインタビューを通じて収集し、既存の株主および他の投資家からの期待も、株主総会や、エンゲージメント・ミーティング、当社への評価データを通じて収集しています。また、業界団体やNGOの方々からの期待などは、ミーティングやインタビューをおこない把握に努めています。これら各ステークホルダーの期待や要望と主要なESG評価項目などの社会からの要請を参考に、当社グループの特性や当社グループの成長への寄与の観点から議論・検討し、ステークホルダーと当社の双方にとって重要性の高いマテリアリティ項目を19項目特定しました。

※「マテリアリティ」はSDGs推進委員会にて審議し、2022年3月14日の取締役会にて承認

マテリアリティマップ

4つの重点取り組み
  • 1:
  • 2:
  • 3:
  • 4:
  • その他:
マテリアリティマップ

4つの重点取り組み

  • 1

    サステナブルなファッションを選択できる顧客体験の提供

    ZOZOがブランドとともに考える基準や生産背景まで含めた詳細情報を自社運営サービスに掲載することで、お客様に人権や環境に配慮されたサステナブルな商品やサービスを選択できる機会を提供する。

  • 2

    廃棄ゼロを目指す受注生産プラットフォームの構築

    ZOZOが計測技術や各種データを活かした受注生産プラットフォームを構築することで、アパレルにおける大量生産・大量廃棄を減らすための仕組みを実現する。

  • 3

    ファッションに関わるすべての人のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進

    ZOZOが積極的な情報発信や取り組みをおこない、自社の社員、ファッション業界のプレイヤーや次世代層、マイノリティの人々、ファッションの生産者、汚染の影響を受けている人たち、ZOZOのお客様など、ファッションに関わるすべての人が可能性を発揮できる社会づくりに貢献する。

  • 4

    持続可能な地域づくりへの貢献

    ZOZOがファッションとテクノロジーを活用し、各地域の環境面・社会面の課題解決にステークホルダーと共に取り組み、地域の活性化、持続可能な地域の実現に貢献する。

4つの重点取り組み・マテリアリティへの取り組み

当社は、4つの重点取り組みおよびマテリアリティへの取り組みを推進し、企業としての持続的な成長と環境・社会への課題解決に取り組んでいきます。

統合報告トップページへ